研究課題
本研究課題では in vitro および in vivo での各浸潤モデルにおける口腔扁平上皮癌細胞の浸潤増殖像の検討および in vivo では浸潤モデルにおける浸潤像と転移との関係についてそれぞれ検討した。その結果、4型コラーゲンゲルを用いた in vitro の浸潤モデルにおいて各癌細胞の浸潤能に応じた浸潤像を再現することに成功し、浸潤様式が高度になるにつれゲル中へのび漫性の浸潤を認めた。また、浸潤様式4D型の癌細胞ではコラーゲンゲル中にSwiss 3T3線維芽細胞を入れない状態でも、同様にび漫性の浸潤を認めた。またこれらの細胞の運動能を検討した結果、浸潤能の高い細胞で浸潤時に自己分泌型の運動促進因子(autocrine motility factor)の高い発現を観察し、高浸潤細胞では線維芽細胞の産生するHGF等に頼らず自ら産生する運動因子で浸潤する能力があることが証明された。基質分解能では各種のマトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)を検討したところ浸潤能の高い細胞で MMP-2, MMP-9, MT1- MMP の過剰発現を認めた。接着能では上皮細胞間接着分子であるカドヘリンと上皮細胞と間質の接着分子であるインテグリンについて検索したところ、いずれも浸潤能の低い細胞の浸潤像では細胞間接着が強固に観察されたが、浸潤能の高い細胞の浸潤像では両者の接着分子はいずれも高度に消失していた。癌細胞周囲の間質反応を検索した結果では浸潤様式4D型において周囲に強い結合織造成が認められた。また、癌組織の低酸素状態を検討したところ、低酸素で誘導されるHIF-1αが高度浸潤癌で発現が多いことが判明した。従って口腔扁平上皮癌の浸潤像の形成には癌細胞の運動能、基質分解能、接着能が関係していることが示唆された。また癌間質の反応も癌細胞の浸潤と密接に関連することが示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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