研究概要 |
骨延長部ではマウス骨延長モデルでvegfr-1,-2, pdgfr-α,-β,sdf-1, cxcr4,7などの血管新生に関連する遺伝子発現が亢進し,それらはタンパク質発現においても確認された.CXCR4, 7は骨延長部に動員されたSca-1+幹/前駆細胞に高率に発現していた.SDF-1を骨延長部に投与すると血管内皮前駆細胞を動員し,それから分化したCD31+血管内皮細胞とαSMA血管周皮細胞による血管形成が観察された.これによる実際の血流増加がレーザードップラー血流解析装置にて確認された.これらの血流増加により骨形成が促進されることも確認された.SDF-1/CXCR4,7システムに着目し解析したことからSDF-1の局所投与は内在性の骨髄由来血管内皮細胞/前駆細胞を骨延長部に動員し骨形成を促進することが明らかになった. 以上は特定の因子群をとりあげたが,そのほかにもさまざまな因子群が協調して作用していた.そこでこれらの因子の集合体を含むものとして幹細胞培養上清に着目した.歯髄や骨髄から採取した幹細胞を培養し,無血清培地から調製した上清をラット頭蓋骨欠損モデル,ラット創傷治癒モデル,ラットおよびイヌ歯周組織欠損モデルに適用したところ,いずれも血管構築が先行し組織形成が進む様子が観察された.
|