研究概要 |
1)脂肪由来幹細胞の分離 Zukらの方法に準じマウズ、ラットの鼠径部脂肪体ならびにヒト頬脂肪体から、コラゲナーゼ処理によって幹細胞画分を回収することに成功し、骨分化培地およびBMP-2を作用させることによってALP活性の上昇、osteocalcin, RunxII等の骨分化マーカーが上昇することを見出した。細胞表面マーカーの解析ではCD29, 90, 105, 146が陽性で,田の組織由来の間葉系幹細胞と同様の特性を示した。また、これらの細胞をβTCPを担体として移植することによって、in vivoで骨形成が有出来ることを明らかにした(Shiraishi, et al. JDR, accepted)。 2)遺伝子クローニングと導入 新たにマウスBMP-4, RunxII遺伝子をクローニングし、発現ベクターpETに組み込み遺伝子導入実験を行った。対象の細胞として,マウス、ラットの脂肪ならびに骨髄由来間葉系幹細胞を用いた。また導入方法としてリポフェクチン法、およびエレクトロポレーション法、さらにアデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入を試みた。それぞれの組み合わせによって遺伝子導入効率は異なり、ラット骨髄由来幹細胞に対してはBMP-2遺伝子の効率はよいものの、マウス細胞に対しては効率が低く、反対にRunxII遺伝子はマウス由来細胞に対して効率よく導入された。またBMP-2よりもRunxIIを導入したものにALP活性の上昇が顕著であった。 3)幹細胞の即時移植 マウス頭蓋骨上への培養操作を経ない幹細胞移植による骨再生実験を行った。その結果、骨髄由来単核球細胞移植によって、対象に比べ有意に骨形成の促進が見られた。しかし、その効果は末梢血由来多血小板血漿移植との有意差は見られなかった。(Zhang, et al. PloS ONE, submitted)
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