研究課題/領域番号 |
22390390
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
本城 正 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10379844)
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研究分担者 |
山城 隆 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70294428)
上岡 寛 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80253219)
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キーワード | cbfb / runx1 / エナメル質 / エナメル芽細胞 |
研究概要 |
Runxファミリーは生物種を超えて多くの器官や組織の発生・分化過程に重要な役割を果たすことが知られている。unxファミリーはさまざまな細胞種の発生・分化過程に重要な分子であることがノックアウトマウスによる研究で明らかにされており、特にRunx2は骨形成のマスタージーンと言われ、核内転写因子として有名な分子である。しかし、これまでの歯の形成におけるRunxファミリーに関する研究では、歯原性間葉における役割にのみ注目が集まり、歯原性上皮組織での機能的な役割については検討がなされたことがなかった。 そこで本研究では歯の発生におけるCbfbの役割を解明することを目的とし、上皮特異的Cbfbノックアウトマウス(Kl4-Cre;Cbfb flox,以下変異マウス)を作成し詳細な解析を行った。特に、内エナメル上皮から生じるエナメル質形成に対してい及ぼす影響を検討した。まず、Cbfb変異マウスとコントロールマウスのMicroCT撮影を行い硬組織の形態比較を行った。切歯においては、エナメル質の形成見られず、臼歯においては、エナメルのクラックが見られた。また上皮特異的Runx1ノックアウトマウスにおいてはその影響が顕著であり、臼歯においても著しいエナメル質形成不全と歯根の短小化が認められた。組織切片より、変異マウスの切歯のエナメル芽細胞は極性が消失しており、歯根先端部における増殖細胞は著しく減少していた。さらに、変異マウス切歯ではエナメル質分化マーカーおよび、幹増殖細胞、ソニックヘッジホッグの発現が減少していた。今後さらに詳細な解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上皮特異的Cbfb KOマウスに加えて上皮特異的RunxlKOマウスにおいてもエナメル質の形成不全を確認した。しかし、共同研究者からのRunx1 KOマウスの提供が滞り、当初予定した、上皮特異的Runx1 KOマウスにおけるエナメル質形成不全の詳細な検討を行うことができなかった。そのため、岡山大学の動物実験施設において、新たに上皮特異的Runx1 KOマウスを飼育することで、実験動物の確保の問題を解決することにした。来年度早々より、実験動物による解析が可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
上皮特異的Runx1 KOのエナメル質形成不全は上皮特異的CBFB KOマウスよりも重篤であるため、エナメル質形成に重要な役割を果たすのは、Runxファミリーのうち、Runx1がドミナントであることが明らかとなった。そのため、当初予定していた上皮特異的Runx2 KOマウスの解析は当初の予定とは異なり、行わないこととした。来年度においては、本年度はRunx1,CBFB KOマウスを用いてエナメル芽細胞の分化に対する表現系の相違を解析し、エナメル質形成における分子カスケードの詳細を検討する予定である。
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