研究課題/領域番号 |
22390392
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山崎 要一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30200645)
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研究分担者 |
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
岩崎 智憲 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10264433)
齊藤 一誠 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (90404540)
稲田 絵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30448568)
武元 嘉彦 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70452943)
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キーワード | 気道通気障害 / 流体シミュレーション / 睡眠時無呼吸 / 上顎急速拡大 / 管腔気道 / 通気圧力 / 通気速度 / CTデータ |
研究概要 |
本研究は小児期の咬合異常を引き起こす気道通気障害の診断に、3次元管腔気道形態から流体シミュレーション技法を用いて通気機能を評価し、顎咬合状態との関連評価を行うことを目的とした。 具体的には気道通気障害による骨格的な咬合異常が疑われる小児と、気道通気障害ならびに咬合異常のみられない小児を対象に、本研究の研究協力者の所蔵しているCTデータから、上気道である鼻腔、上咽頭、下咽頭、舌根部各部について、3次元ボリューム処理を行い、圧力分布、速度分布等の流体解析を行うことで、通気機能を正確に把握し、気道通気障害が顎咬合状態にどのような影響を及ぼしているかを明らかにすることである。 平成23年度は、初年度に交付された経費で購入した物品を使用して、顎顔面部の外科的手法による上気道の通気状態の改善効果について、流体シミュレーション評価を行った。その結果、顎顔面頭蓋の先天異常を有する症例については、顎骨延長術により上気道通気状態の改善に関する評価に、本法が有効であることが示された(第70回日本矯正歯科学会大会優秀発表賞を受賞)。さらに、鼻腔通気障害により、吸気時に生じる咽頭気道の著しい陰圧が引き起こす咽頭気道の収縮したモデルを構築して、実際の呼吸状態により近い、咽頭気道の通気状態を評価する上気道の流体構造連成解析の結果をWorld Sleep 2011 (Kyoto)で発表した。この流体構造連成解析は、呼吸器官に関する分野では我々の知る限り他に見当たらず、世界でも最も先進的な研究といえる。 また、本研究に先立って実施した基盤(B)2007-08年の助成による「永久歯の先天性欠如に関する総合的研究」が昨年から注目を浴び、「永久歯足りない子10人に1人」のタイトルで、大手ポータルサイトのYahoo Japanトップページに掲載された(2011年1月9日)。さらに「永久歯が生えない!」のタイトルで、NHKニュースおはよう日本に全国放送され(2011年12月14日午前7:16-7:22)、この放送を視聴した国会議員の依頼を受け、衆議員会館で招待講演を行った(2012年1月19日)。その後、この講演内容の一部が、衆議院予算委員会で審議されるなど(2012年2月21日)、我々が取組む研究テーマは、常に国民から高い信頼を持って注目されていることが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請に記載した全目標の3分の2を達成している。具体的には、1)「歯列咬合異常児の気道モデルの3次元流体シミュレーション技法により、その特徴を明らかにする」は論文に掲載された。2)「呼吸時の時分割気道構築モデルの流体解析の検討を行う」は学会で発表した。3)「成長期の気道通気障害と歯列咬合の形態異常との関連性を明確化し、関連医療分野との間で共通認識に立脚した評価基準を策定する」は、本研究の最終年度である平成24年度に、関連学会での発表を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に行った「上気道通気状態評価システムである流体構造連成解析を用いた上気道流体シミュレーション技法」について、さらに生体に近いモデルを構築するため、気道周辺の組織データ(体積、物性、重量等)も解析に加えたものにする予定である。 関連医療分野としては既に共同研究を行っている耳鼻咽喉科、形成外科だけでなく、呼吸器内科、小児科、脳神経外科との共同研究を模索中で、その結果、本研究目標である共通認識に立脚した評価基準の策定を可能にするものと考える。
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