研究課題
顎変形症など咬合異常(不正咬合)は、強い遺伝性を有する歯の形態や頭蓋顎顔面形態の不均衡によって惹起されるにもかかわらず、遺伝因子の解明は進んでいない。日本学術会議歯学委員会がその中期的な学術の展望と課題と題するように、病態の理解は広く臨床的に有益な情報をもたらすものであり、新たな治療方法や治療方針の選定方法を開発するための基盤としての第一歩となる。本申請では不正咬合に関与する顎口腔領域に関連した形質における遺伝因子の解明を目的とした。その結果、いくつかの有益な結果が得られた。①原発性萌出不全は稀な疾患で重度の臼歯部開咬を呈する。日本人原発性萌出不全症例についてPTH1Rを解析し疾患に関与する変異を検索した。その結果、原発性萌出不全の罹患に関与するPTH1R遺伝子における新規の変異を同定した。②乳歯萌出開始時期に関与するとされる4つのSNPsとAC、DHC、overjet、overbite、discrepancyを指標とした不正咬合種との間に関連は認められなかった。③paired domain box gene 9(PAX9)は歯の発生において重要な転写因子である。PAX9と永久歯メトリックならびにノンメトリック形質との関連について検討した結果、上顎犬歯棘突起, 歯の近遠心幅径、特に上顎犬歯と下顎第一小臼歯に関与することを明らかにした。④顎関節症の病因には心理的要因(痛みの受容)、性差、集団差などが関与することから、これまでの候補遺伝子解析では痛みの受容に関与するCOMT、ADRB2、SLC6A4、ならびに性ホルモンとしてのESR1などが検討された。本研究では顎関節変形性関節症の新規感受性遺伝子座位を同定した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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