研究概要 |
遺伝性エナメル質形成不全症は典型的な遺伝性疾患である。本研究では,常染色体性エナメル質形成不全症患者家系に関してアメロブラスチン(AMBN),エナメリン(ENAM),カリクレイン4(KLK4),エナメライシン(マトリックスメタロプロテイナーゼ20,MMP20),DLX3,アメロチン(AMTM)、family with sequence similarity 83 member H(FAM83H)遺伝子の変異の探査を行うとともに,その調査対象家系を増やし,調査の充実と新しい変異の発見を目標としている。口腔粘膜を綿棒にてスワブし,抽出される微量ゲノムDNAを用いてPCR(polymerase chain reaction)を行い,目的の遺伝子を増幅する方法を用いている。今年度はヒトAMBN,ENML,MMP20,KLK4,DLX3,AMTN遺伝子のコード領域の上流および下流の非コード領域に特異的なプライマーを設計し、幾人かの遺伝性エナメル質形成不全症患者のPCRを行うことによってこれらの遺伝子のコード領域とスプライス部位のクローンを作成している。今後は増幅したDNAをダイレクトシークエンスし,その塩基配列,遺伝子構造を比較検討して,エナメル質形成不全症患者における突然変異部位を検索している。その他、遺伝性エナメル質形成不全症の原因とならない遺伝子多型のデータも、遺伝性エナメル質形成不全症原因との区別のため集積している。
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今後の研究の推進方策 |
原稿の研究を継続して行う。また、病原性変異が確認された場合、そのAI患者の両親,祖父母,兄妹,両親の兄弟などに協力を仰ぎ,血液あるいは口腔粘膜スワブにてサンプルを収集した後,ゲノムDNAを採取,精製する。サンプル採取時に口腔内検診を行い,AIへの罹患の有無を診査する。
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