研究課題
歯周病原細菌に対する血中IgG抗体価検査では,全菌体抗原が使用されているために検査の標準化が困難である。本研究では,Porphyromonas gingivalis(Pg)の全菌体抗原の中から歯周病患者が認識する抗原成分を選抜し,合成タンパク質を構築した。さらに,検査への応用を目指して,合成タンパク質と患者血清との反応性を検討した。健常者および歯周病患者プール血清を用いてイムノアフィニティカラムを作製した。Pgの抗原調製液をカラムによって粗精製し,MS解析にてタンパク質を同定した。Pg FDC381株から同定したタンパク質の遺伝子をクローニングし,コムギ無細胞系タンパク質発現システムを用いてタンパク質を合成した。各合成タンパク質(50 ng)の健常者と患者血清(1/2500希釈)に対する反応性を,ドットブロット法にて調べた。ドットブロット法での反応シグナルは,ImageQuant システムを用いて数値化した。歯周病患者血清抗体のイムノアフィニティカラムを用いて粗精製した抗原タンパク質をMS解析によって網羅的に同定した結果,プロテアーゼや外膜タンパク質,鉄結合タンパク質など31種類の抗原が,特異的にあるいはより多量に結合していた。これらの31種類の選抜抗原の中から,29種類の合成タンパク質の作製に成功し,健常者あるいは患者プール血清と合成タンパク質との反応性から,患者プール血清との反応性が強い16種類の合成タンパク質を選出できた。個々の患者血清と合成タンパク質の反応性からは,認識される合成タンパク質の組み合わせ(パターン)が患者ごとに異なることが分かった。その一方で,すべての患者血清に共通に認識される抗原も存在した。今後は,血清の認識パターンと臨床所見との関連性を分析することによって,血中IgG抗体価検査に有用な抗原分子を特定し,標準化された迅速検査法の開発を行う。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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