研究課題/領域番号 |
22390400
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小坂 健 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60300935)
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研究分担者 |
近藤 克則 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20298558)
相田 潤 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80463777)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者 / 健康格差 / 補てつ / K6 |
研究概要 |
本年度は、過去の調査データの解析及び、それらの結果を活用した質問紙の作成を行った。 過去の調査の解析では、高齢者の社会環境と健康に関する調査である、AGES2003年調査、JAGES2010年調査のデータベースの解析を行った。更に岩沼市での仮設住宅の健康調査のデータを用いて解析した。 岩沼市での調査結果からは、世帯の年齢等の社会経済状況に応じて、口腔内の歯科治療の指標となる補てつ物の有る割合が高くなっていることが明らかになったが、もっとも社会経済状態の悪いグループについては、かえって他の層よりも、補てつ物の治療を受けた割合が高かった。(現在、雑誌投稿中) これらは、年収などの社会経済状態によって、様々な要因を調整しても、歯科治療によると思われる補てつ物の状況について格差が生じていることを明らかにするとともに、もっとも社会経済状況の悪いグループで状況が良好であったことが、生活保護を含めた医療制度の要因が関わっていると推察された。これらが、他の地域でも同様の結果が生じるのか確認していく必要がある。 また、仮設住宅のデータ解析では、多くの住民が一般の住民に比べてK6で測定する精神状態が特に悪化しており、これが将来への生活不安と大きく関わっている事。高齢者に比較して、40歳代などで極めて高かったことから、従来のメンタルケアを含めた保健のアプローチだけでなく、就労支援や住宅の確保といった総合的な対策が必要である事を示している。(これらの成果については日本疫学会総会で発表し、現在、英文雑誌に投稿中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象が被災地であり、地域の結びつきについては流動性が高まったために特別な配慮が必要であったが、仮設住宅の住民の中で同意が得られた者に対する調査が実施出来ており、また支援スタッフ等に対してもフォーカルグループインタビュー等が実施出来たため、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においても、仮設住宅を含めた岩沼市での大規模な調査が予定されており、そのデータを以前のデータと比較しながらパネルデータとしての解析が可能となる。
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