研究課題/領域番号 |
22390406
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
田中 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (20286371)
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研究分担者 |
酒井 一博 労働科学研究所, 研究部, 所長 (90072660)
吉原 直樹 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40240345)
藤本 哲史 同志社大学, 総合政策学部, 教授 (50278313)
遠藤 由美子 琉球大学, 医学部, 准教授 (90282201)
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キーワード | 看護学 / ワーク・ライフ・バランス / 労働 / セカンドキャリア / 中高年 |
研究概要 |
1)平成22年に行った山形県内の看護職のワーク・ライフ・バランスのプレテストを踏まえ、質問項目を精選し、山形県の病院で就労する看護職者4,172人を対象に本調査を実施し、2020部回収された(回収率48,9%)。その結果、年代が上がるにつれて離職回数が増える傾向がみられた。子どもと食事をする頻度は、30代は「週4日以上」が有意に多く、「ほとんどしない」は有意に少なかった。40代は「ほとんどしない」は有意に少なく、逆に50代になると、「ほとんどしない」は有意に少なかった。このことからも子供の成長を含めたライフイベントによって家事の量、性質が変化し、それが離転職にも影響していることが推測された。 2)介護保険施設で就労する看護職の雇用マッチングを分析・調査した。その結果、介護保険施設では中高年層が主力となっていること、就職を希望する者は多いが雇用には至っていない、いわゆるミスマッチが生じていること、病院の経験は介護現場での就労に重要であるが、あまりこだわると病院との違いにギャップを感じ離職につながる恐れがあることが明らかになった。中高年看護職者の就労支援には、病院での就労が長くても介護現場で求められるケア理念、技能を研修等によって修得することが重要である。 3)看護経済・政策研究学会第7回研究会「看護職者のセカンドキャリア-やりがいのある生涯現役をめざして-」(1月8日、東京)を開催した。(1)中高年看護職者のフィナンシャルプラン、(2)看護を語ろう楽学塾をつくって、(3)キャンナスの活動などの講演から、高齢化が進行する中、組織に雇用されるだけでなく、起業、ボランティア組織の立ち上げなど様々な看護職者の活躍の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
県内での大規模調査がスムーズに終了した。また、看護経済・政策研究学会研究会において、様々なセカンドキャリアの在り方を検討できた。中高年看護職者の雇用が期待されている介護保険施設での実態調査がスタートし、さらなるセカンドキャリア就労支援の方策がみえてきた。
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今後の研究の推進方策 |
衛生行政報告例の看護職就労動向に関するデータを申請し、介護保険施設における看護師の就労支援の分析をすすめていく。さらに、中高年看護師の就労に関する国際比較を行うため、この領域の専門家であるJamesBuchan氏(英国クイーンマーガレット大学教授)を平成25年の看護経済・政策研究会学術集会の特別講演に招へいし、さらに研究会を開催する。Buchan氏には研究趣旨を説明し、快諾されている。平成25年の開催に先立ち、情報交換を進めていく。また、これまでの調査分析結果を、日本看護研究学会(すでに演題提出済)、人材育成学会で発表、論文を執筆する。
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