研究概要 |
本研究の目指すものは、交代制勤務に従事する看護師の夜勤時の有効な休息のとり方を明らかにすることである。 平成22年度の調査結果より、16時間夜勤に従事する看護師の多くが120分間の仮眠をとり、午後10時,午前0時,午前2時に仮眠を開始する中で、仮眠開始前後で眠気が出現し,熟睡感にも影響していることが明らかとなった。そこで、平成23年度は実験室で15人の成人女性を被験者として、午後10時、午前0時、午前2時より120分間の仮眠を開始し、「自覚的指標」「生理的指標」「作業効率」の各指標より、眠気・疲労低減効果を検討した。 午後10時より仮眠を開始した場合は、仮眠直後の起床時に交感神経系の亢進を認め、一時的にストレスが高くなった状態であった。また、午前3時より眠気、疲労感は増加し、作業効率も低下した。一方、午前0時より開始した場合も、仮眠の起床時には一時的に交感神経系の亢進を認めストレス状態であった。さらに、眠気、疲労感ともに午前6時より増加したことより、作業効率も低下していた。午前2時より仮眠した場合は、午前2時までに眠気が増加していたものの、熟睡感も得られ、仮眠をとった後の起床時には、交感神経系の亢進を認めず、眠気は午前4時から午前9時にかけて増加しなかった。また、疲労感は午前7時にいったん減少し、疲労低減効果を認め、さらに作業効率も朝方にかけて維持可能であった。以上より,午後4時~午前9時までの16時間夜勤帯では午前2時から開始する仮眠が、午後10時と午前0時の仮眠より、眠気や疲労低を低減する効果があり、起床時のストレスが少なく作業効率維持効果も期待できることが明らかとなった。平成23年度は、仮眠開始時刻によって、疲労、眠気の増加時刻が明らかとなったので、この部分の対応策も考え、平成24年度は、総合病院で働く看護師10人を対象として介入研究を展開するよう進めている。
|