平成22年度は、体系的な看護指標を作るための枠組みを作成した。体系的とは、急性期病院で行われている一般的な看護を網羅することを指し、看護指標は、看護を表す指標と国民が知りたい指標の2本立てで考えることとした。 体系化のために、既存の看護理論やモデルを検討したが、教育現場でも実践現場にもなじみのあるNOC(Nursing Outcomes Classfication)を参考にすることとした。具体的には、看護実践のNNN分類法の類を代表するNOC」の成果ラベルの中から各類を代表する成果ラベルへ絞り込む作業を行った。さらに、それらのラベルに代表される看護実践とアウトカムを明らかにし、看護指標案を作成した。次年度は、これらの看護指標案のエビデンスを確認した上で実際に看護実践現場で使用し、指標としての妥当性を確保する予定である。この指標が完成すれば、急性期病院間でのベンチマークが可能になり、日本の看護の水準を可視化することにつながる。 海外視察においては、マグネット取得認定施設や取得を目指している施設において、看護指標が質向上をめざす文化の醸成にどのように役だっているのか、また看護指標による定期的なデータ分析が、実践力をどのように向上させているのかを学んだ。日米の医療システムの違いはあるものの、看護実践方法や看護指標に大きな違いがあるわけではないことが確認され、米国での取り組みが日本でも十分に活かされると確信できた。今後も継続的に米国医療現場や研究機関との連携を維持することで、日本でのベンチマークシステムの構築に役立てていく。
|