研究概要 |
平成22年度において,意識障害患者の睡眠と覚醒状態について調査を行う予定であった.しかし,施設との調整に時間を要し,現在進行である.そのような状況のなかで,意識障害の脳活動について調査をおこなった.対象者は20名の意識障害患者であった.この対象者に対し座位や端座位の運動系への看護介入を5分間行い,α・β波の発現数を測定した.また,この介入前後に安静状態のα・β波を測定し,介入前中後の脳の活動状況を比較した.その結果,発症から意識障害である期間が発症から30日以内の初期の患者(6名)においては,介入によりα・β波の発現時間が100%あった.介入前を基準にした介入中と後における変化率は,初期の患者が発症から30日以上で60日以下の継続期の患者(6名)や発症から60日以上を数年経過した遷延期の患者(8名)より,有意に変化率が高かった.また,遷延期の患者は,介入がなくてもβ波の発現数が高いことが確認できた.これらの結果より,意識障害が発症より期間が短い患者では,介入により脳活動があり,介入により回復の可能性が示唆される.一方,意識障害が長期化している患者においては,脳の活動は介入がなくても活動していた.しかし,自発的な活動が見られないのは,身体機能の廃用性による運動機能障害が確認できた.この調査から,平成23年度の調査においては.意識障害患者の睡眠と覚醒リズムを調査とともに,長期の意識障害患者の廃用性症候群による自発的な行動を引き出す看護介入も検討する.
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