研究分担者 |
紙屋 克子 静岡県立大学, 看護学研究科, 教授 (90272202)
日高 紀久江 筑波大学, 人間総合科学研究科, 准教授 (00361353)
大内 潤子 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (00571085)
福良 薫 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (30299713)
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研究概要 |
意識障害患者の睡眠と覚醒リズムを調査した。16から0時まで(夜間脳波測定)と,午後に脳神経の活性化を促す介入時(介入脳波)に測定をした。1例目は,大脳半球広範囲脳梗塞によりJCS100の70歳代男性であった。発症から約100日目の夜間脳波はα・β波は低値を推移し,介入時のα・β波の変化は見られなかった。その後の経過では感染症により死の転帰をとった。2例目は,右側頭葉の脳梗塞によりJCS100の60歳代の女性であった。発症から約60日目の夜間脳波では,α・β波は低値で推移しているが,体位変換や痰吸引時にはα波の上昇が確認できた。また,介入時のα・β波の上昇がみられた。その後,介入を84日間継続した結果,JCS2となった。これらの結果から,今回は,昼間の覚醒から夜間の睡眠に移行する時間帯の連続した脳波を測定した。脳損傷の範囲にかかわらず,JCS100の対象者は,意図的な介入がないと覚醒状態も,脳活動状態も低いことが分かった。しかし,日中の介入によって,覚醒状態が上昇し脳活動も活性化し,さらに介入を続けることで,自発的な覚醒が得られ、介入の重要性が示された。 また,廃用症候群のため摂食機能が低下した対象者への舌の稼働を効果的に促す看護介入の開発の端緒を開くために,姿勢変化と舌圧測定を健常成人を対象に行った。その結果,椅子上座位とベッド上長座位の姿勢の変化や足底の床面接地の有無による最大舌圧に与える有意な影響は観察されなかった。それは,姿勢の2条件ともに上半身はほぼ90度であり,舌は重力に垂直方向に運動するため条件に大きな差がなかったことと,姿勢の影響を頸部の角度や腕の動きなどにより代償していた可能性であったたねと思われる。今後,舌の運動方向が重力に対して多様な角度を持つ場合に舌圧がどう変化するかと,代償機能が期待できない状態における姿勢の変化が舌の運動に影響を検討する必要がある。
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