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2011 年度 実績報告書

生理学に基づいた意識障害患者への看護プログラムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 22390420
研究機関北海道大学

研究代表者

林 裕子  北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 准教授 (40336409)

研究分担者 紙屋 克子  静岡県立大学, 看護学研究科, 教授 (90272202)
日高 紀久江  筑波大学, 人間総合科学研究科, 准教授 (00361353)
大内 潤子  北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (00571085)
福良 薫  北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (30299713)
キーワードリハビリテーション看護
研究概要

意識障害患者の睡眠と覚醒リズムを調査した。16から0時まで(夜間脳波測定)と,午後に脳神経の活性化を促す介入時(介入脳波)に測定をした。1例目は,大脳半球広範囲脳梗塞によりJCS100の70歳代男性であった。発症から約100日目の夜間脳波はα・β波は低値を推移し,介入時のα・β波の変化は見られなかった。その後の経過では感染症により死の転帰をとった。2例目は,右側頭葉の脳梗塞によりJCS100の60歳代の女性であった。発症から約60日目の夜間脳波では,α・β波は低値で推移しているが,体位変換や痰吸引時にはα波の上昇が確認できた。また,介入時のα・β波の上昇がみられた。その後,介入を84日間継続した結果,JCS2となった。これらの結果から,今回は,昼間の覚醒から夜間の睡眠に移行する時間帯の連続した脳波を測定した。脳損傷の範囲にかかわらず,JCS100の対象者は,意図的な介入がないと覚醒状態も,脳活動状態も低いことが分かった。しかし,日中の介入によって,覚醒状態が上昇し脳活動も活性化し,さらに介入を続けることで,自発的な覚醒が得られ、介入の重要性が示された。
また,廃用症候群のため摂食機能が低下した対象者への舌の稼働を効果的に促す看護介入の開発の端緒を開くために,姿勢変化と舌圧測定を健常成人を対象に行った。その結果,椅子上座位とベッド上長座位の姿勢の変化や足底の床面接地の有無による最大舌圧に与える有意な影響は観察されなかった。それは,姿勢の2条件ともに上半身はほぼ90度であり,舌は重力に垂直方向に運動するため条件に大きな差がなかったことと,姿勢の影響を頸部の角度や腕の動きなどにより代償していた可能性であったたねと思われる。今後,舌の運動方向が重力に対して多様な角度を持つ場合に舌圧がどう変化するかと,代償機能が期待できない状態における姿勢の変化が舌の運動に影響を検討する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2件の協力病院を秋ごろから得ることができたため、遷延性意識障害者の睡眠と覚醒状況を観察することができた。ただし、解析に時間を要している。また、遷延性意識障害者の摂食にかかわる舌圧に関する、基礎データが収集でいたのでまとめる予定である。さらに、遷延性意識障害患者と原因が不明な長期臥床に生じる関節硬縮によるお生活行動への介入が困難な事例に対する、排便の促しや排泄介助の介入効果などの報告もあり、まとめていく予定である。

今後の研究の推進方策

本研究は、協力病院との連携が重要である。また、遷延性意識障害患者の入院のコントロールは不可能であり、入院時に即座に対応するために、協力病院との情報交換が欠かせない。また、本研究の遂行は、研究者のみの看護介入だけではなく、協力病院のスタッフの看護介入も重要である。そのめ、協力病院に対し、スタッフのスキルアップのため研修も欠かせない状態である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 遷延性意識障害患者の介護教室参加者のケアニーズと介護教室の在り方に関する検討2011

    • 著者名/発表者名
      日高紀久江
    • 雑誌名

      日本脳神経看護研究学会会誌

      巻: 33 ページ: 141-146

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 【意識障害患者に対する生活行動回復を支援するための看護技術】意識障害患者が生活行動を回復するために看護師ができること2011

    • 著者名/発表者名
      林裕子
    • 雑誌名

      Brain Nursing

      巻: 27 ページ: 858-863

  • [雑誌論文] 【意識障害患者に対する生活行動回復を支援するための看護技術】生活行動再学習を促す看護技術2011

    • 著者名/発表者名
      林裕子
    • 雑誌名

      Brain Nursing

      巻: 27 ページ: 881-888

  • [学会発表] 脳卒中高齢者における生活行動の再学習の効果と意義2011

    • 著者名/発表者名
      齋藤千晴, 林裕子
    • 学会等名
      第38回日本脳神経看護研究学会
    • 発表場所
      富山国際会議場(富山県)
    • 年月日
      2011-10-01
  • [学会発表] 重症くも膜下出血患者の生活行動の拡大を目的にした看護チームアプローチにおける一事例の分析2011

    • 著者名/発表者名
      丸川陽子, 林裕子
    • 学会等名
      第38回日本脳神経看護研究学会
    • 発表場所
      富山国際会議場(富山県)
    • 年月日
      2011-10-01
  • [学会発表] 脳卒中後遺症で機能的自立度評価が低い患者への生活行動再獲得を目指した看護2011

    • 著者名/発表者名
      林裕子
    • 学会等名
      第37回日本看護研究学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-08-07
  • [学会発表] 廃用症候群の高齢者の経口摂取に向けたアセスメントツール作成の試み(第一報)2011

    • 著者名/発表者名
      大内潤子, 林裕子
    • 学会等名
      第37回日本看護研究学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-08-07

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公開日: 2013-06-26  

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