研究課題
本研究の目的は、全随意筋麻痺により、意思疎通ができない筋萎縮性側索硬化症(ALS)者に対する生体反応を用いた意思疎通方法の開発と実用性の向上を図ることおよび、探知された生体信号が正当であったか否かを、病態・臨床経過を踏まえ神経学・病理学・看護学から、集学的に検討することである。初年度として、以下の成果を挙げた。1)対象の療養経過及び意思疎通に影響する症状の出現傾向に関する検討A病院対象41名に対する横断調査を実施し、眼球運動制限や易疲労等の出現傾向を把握した。地域在住支援者10名に対する意思伝達維持支援を通じた参加観察により、課題を抽出した。2)生体信号を利用した意思伝達装置試用(MCTOS・心語り・ニューロコミュニケーターなど)3)意思伝達の程度からの分類(案)の作成:対象の意思伝達の程度について、代替手段への適応と伝達レベルにより、ステージ分類I(文章表現可能)~V(全く伝えられない)を作成した。4)神経学的検討:1)の横断調査対象者のうち、SEP 17名,EEG 5名,SPECT 10名,MRI 11名,高次機能5名の検査結果の照合を行った。ステージ分類I期でも、N30(前運動野)の低下,前頭葉・側頭葉の血流低下をきたす例が存在した。ステージが進むほど、程度は重度化した。5)病理学的検討:(1)A病院のALS剖検131例について、最終意思伝達状況でのステージ分類を行った。(2)完全閉じこめ症候群(TLS)患者における「大脳の変化」を検討した。TLSとなる前に「認知症を伴うALS」および「多系統型ALS」と診断されていたTLS患者では大脳側頭葉や基底核病変が強かった。一方「古典型ALS」と診断されていたTLS症例では、脳幹被蓋や脊髄に著明な変性が見られたが、大脳の変化は比較的軽度であった。「古典型ALS」患者はTLSとなっても大脳機能は保たれる可能性が示唆された。
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