研究課題/領域番号 |
22390438
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 みずえ 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40283361)
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研究分担者 |
丸岡 直子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (10336597)
泉 キヨ子 帝京科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20115207)
小林 小百合 東京工科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (20238182)
加藤 真由美 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20293350)
岡本 恵里 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (20307656)
谷口 好美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50280988)
平松 知子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (70228815)
水谷 信子 甲南女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20167662)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 転倒予防 / 臨床判断 / 転倒予防 / 質指標 |
研究概要 |
平成24年度は4年間の研究の三年目であり、認知症高齢者のための転倒予防看護包括質指標の完成を目指した。転倒予防認知症看護のエキスパートパネルに対して項目内容について重要性・妥当性・実行可能性に関する調査を実施した。初回のエキスパートパネルの調査では、同指標の内容が多岐にわたり複雑であることなどの指摘を受けた。そこでさらにエキスパートを交えて、指標の内容を精選させた。その結果、認知症高齢者のための転倒予防包括看護質指標として、「①転倒予防看護質指標」、「②生活行動力のアセスメント」、「③排泄行動看護質指標」の3つから構成するとことした。さらに2回目のエキスパートを対象としたアンケートでは同指標の重要性・妥当性・実行可能性に関する調査を実施する予定し、さらに内容を精選した。同指標は、認知症看護のエキスパートによる転倒予防に関するフォーカスグループインタビューの結果、明らかにされた臨床判断プロセスを基盤とした。つまり、【A認知症高齢者と行動を共にしてリスクを判断する】,【B認知症高齢者のその人の持つ視点を重視しかかわる】,【C情報・ケア方法を共有するシステムをつくる】を実施した結果、生活が【D落ち着く】ことで転倒が減少するプロセスを基盤とした。こられを踏まえてエキスパートパネルとの検討会議を行って完成させた。また、認知症認定看護師と老人保健施設および療養型病床群の看護管理者を対象とした実施状況などの調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って指標の開発に取り組んだ。平成24年度は認知症看護のエキスパートを交えた研究会議を頻回に行って認知症高齢者のための転倒予防包括看護質指標を完成させた。特に認知症高齢者の転倒予防のための看護について、研究斑ではエキスパートも交えて何度も討議を繰り返した。その結果、高齢者は認知症をもつようになってから転倒予防のための特別な看護が必要となるのではなく、基本的な老年看護が転倒予防の基盤となっている。特に認知症高齢者はニーズや身体の不調を適切に表現することが困難であることが多く、認知症の中核症状や周辺症状など特有の症状に関する看護方法も十分確立されていないことを確認した。本指標はこれらの課題を解決するために、これまで明らかにされてこなかった認知症高齢者に対する転倒予防看護の具体的な看護のポイントを示したものとした。また、認知症高齢者の転倒については、認知症高齢者は自分でニーズを適切に言葉で訴えることができないために、その人の生活の価値観、生活リズムやニーズが満たされないケアを実施されることが多く見受けられる。れらが繰り返されることで落ち着かなくなり、その結果、転倒を生じやすくなる。しかし、高齢者のそれぞれの価値観や独自のニーズが満たされて、生活全般が落ち着けば転倒は起こりにくいことなどについて、分担研究者およびエキスパートと検討した。また、同指標に関して、全国の認知症認定看護師と老人保健施設および療養型病床群の看護管理者を対象とした実施状況、評価としての実行可能性などの調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は平成24年度に実施した調査を分析する。全国の認知症認定看護師と老人保健施設および療養型病床群の看護管理者毎に分析する予定し、それぞれの課題を明らかにする。さらには生活活行動力のアセスメントに関しては内容がアンケートにそぐわなかったために、エキスパートによる検討会を行い、内容の妥当性について検討する。 平成25年度では平成24年度に実施したアンケート調査を研究分担者のフィードバックし、指標の内容を再検討する。そして、最終の転倒予防指標の妥当性などをさらに認知症看護のエキスパートを交えて検討し、最終版の指標を完成する予定である。アンケート結果については、全国調査を実施していることから、調査結果をまとめて原著論文として発表する予定である。 認知症高齢者の転倒予防ケアの臨床判断のプロセスについては、認知症看護のエキスパートによる転倒予防に関するフォーカスグループインタビューの結果分析した。同指標の臨床判断のプロセスの基盤となることからデータをさらに精選させて、原著論文として発表する予定である。
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