本研究は、日本の精神障害者のセルフケア能力を評価する尺度の開発を目的としている。本研究で用いるセルフケアの考え方は、 Orem-Underwoodのセルフケア理論を基にしていることから Underwood博士の助言の下で進めていった。先ず、Underwood博士自身が米国で開発したSelf-care Assessment Toolの原本を検討し、日本語に翻訳して、現在の日本の精神科医療状況、文化の違いを考慮しながら、日本版 Self-care Assessment Toolの案を作成した。その案を Orem-Underwoodのセルフケア理論に基づくセルフケアを実践している看護師に評価・検討してもらい、Assessmentとして 用いる質問項目の洗練を行うとともに、Assessmentする際の留意点についても検討した。 Self-care Assessment Toolの作成と並行して、当事者である精神障害者自身が自分のセルフケアレベルを評価する質問紙の作成を行った。看護師が行うSelf-care Assessmentと項目をほぼ同じにする質問紙とより簡単に記入できる簡易版の質問紙とを作成したが、試行した結果では、看護師が行うSelf-care Assessment Toolの項目とほぼ同じ質問紙の方が有用であることが明らかになった。 本研究においては、看護師が用いる日本版 Self-care Assessment Toolとその手引き、精神障害者自身がSelf-care能力を自己評価する質問紙の作成にまでは到達することができたが、実践で使用し、実行可能性と有用性の検討については十分ではない。これについては今後の課題として研究を継続し検証していきたいと考えている。
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