在宅虚弱高齢者の活動性の低下に伴う健康問題に対応するためには高齢者の生活全般にかかわる包括的支援が必要である。本研究では在宅虚弱高齢者の健康問題の悪化予防に対応するために、構成化されたアセスメントを伴う予防訪問プログラムの作成を行い、その標準化を図ることを目的としている。本研究のデザインは介入群の対象者を181名、対照群の対象者を179名とした無作為化比較対照試験である。 本研究では平成23年10月から平成25年9月まで研究者らで作成した予防訪問マニュアルとシートにしたがって3か月に1回、地域包括支援センターより介入群の高齢者に訪問を行った。 平成26年度は予防訪問提供を終了した後、1年後の長期効果を評価した。効果の評価については、予防訪問を開始して36か月目における対象者の要介護度と3年間の介護給付費の利用状況の比較を行った。その結果、予防訪問により、訪問開始2年後には要介護と認定されることを抑制しており(オッズ比=0.56 95%信頼区間=0.32~0.96)、その効果は予防訪問終了1年後も続いていた(オッズ比=0.59 95%信頼区間=0.35~0.98)。また、訪問開始から19~33か月目までは介護給付を抑制しており、中でも訪問介護サービス利用の伸びを抑制することが示された。以上より、在宅虚弱高齢者の介護予防のために、構成化された予防訪問を2年間以上提供することが必要であることが示された。 さらには、平成26年度は本研究のプロトコールについて英文雑誌に論文を掲載し、成果の一部について国内外の学会で発表することができた。
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