研究課題/領域番号 |
22390445
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野末 聖香 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (10338204)
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研究分担者 |
宇佐美 しおり 熊本大学大学院, 生命科学研究部, 教授 (50295755)
安藤 幸子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (80285353)
上野 恭子 順天堂大学大学院, 医療看護学研究科, 准教授 (50159349)
平井 元子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 助教 (20458954)
石井 美智子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 助教 (10583304)
福田 紀子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 講師 (50611050)
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キーワード | 精神看護 / プロトコール / 専門看護師 / 介入研究 / ランダム化比較試験 / 行動マネジメントプログラム / 化学療法 / 抑うつ |
研究概要 |
22年度までインタビュー調査、デルファイ調査を行い、専門性の高い看護師が裁量範囲を拡げて担いうる介入の内容を特定した。23年度は介入のプロトコールを開発し、ランダム化比較試験実施の準備を行った。介入プロトコールは以下の2つに焦点化した。 ①統合失調症患者を対象とした介入プロトコールは「幻聴に対する行動マネジメントプログラム」である。これは、統合失調症患者の生活の質に影響を与える「幻聴」症状を患者自身がマネジメントすることを学ぶプログラムであり、米国(UCSF)でがん患者を対象に開発され精神障碍者用に修正がなされた集団療法である。臨床での実績が確認されており国際的にも活用されつつある。介入マニュアルを翻訳し、研究者間で文化の差異の検討を行い、日本版としての妥当性を高めた。研究対象者は専門看護師が存在する精神科救急・急性期治療病棟、急性期病棟に入院した統合失調症患者とした。対照群は通常ケアの心理教育とした。 ②身体疾患患者を対象とした介入プロトコールは「化学療法を受ける患者のうつ傾向改善のためのケアプロトコール」である。抑うつ症状のある化学療法を受けるがん患者を対象とし、抑うつ症状と身体症状に対する対処能力を高めることを目的とした支持的精神療法、心理教育を主としたプログラムである。研究対象者は、化学療法を受ける血液疾患並びに肺がん患者で軽度から中等度のうつ状態にある入院患者とした。対照群にはうつ、ストレスマネジメントに関するパンフレットを配布した。専門看護師が介入した群の介入前後について、同じ質問紙で調査を行い、比較群としてのデータ収集の準備を行った。 いずれの介入も、研究者所属機関の倫理審査承認後、研究協力施設にて100例を目標に介入研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初は前後比較研究を考えていたが、ランダム化比較試験へ変更をし、その準備に時間を要した。また、デルファイ法で抽出した介入の中から、ランダム化比較試験を実施する介入を特定し、介入プロトコールを完成させるまでのプロセスにおいて、先行研究からの抽出と内容の妥当性に関する検討に、時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
介入プロトコールを用いたランダム化比較試験の研究協力を依頼するにあたり、患者の安全性を確保し、個人情報保護に十分な配慮を行うため、研究機関の倫理審査および対象施設での研究倫理審査を通過する準備を行う。また、介入者の技術トレーニングを実施する。さらに対象患者の選定にあたり、診療科医師の協力を得るための準備を行う。
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