研究課題/領域番号 |
22390447
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大森 純子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50295391)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 健康増進 / 地域への愛着 / 新興住宅地 / 向老期 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
【研究の目的と課題意識】団塊世代の高齢期への移行に伴い、高齢者の生活の質に関わる問題の深刻化が予測される、全国の大都市近郊の新興住宅地に適用可能な向老期世代を対象とした“地域への愛着”を育む健康増進プログラムを開発することを目的とする。長寿を生きる時代の人々の健康観「生活の質」(地域社会における安寧)を重視した公衆衛生活動として、個人の認識や行動の変化(個人変容)と地域の力量形成(社会変容)を同時にねらう健康増進の実践研究が必要と考える。ソーシャルキャピタルと健康との関連に関する知見の集積、および研究代表者による先行研究より得られた近隣他者との日常的な交流関係を通じて“地域への愛着”が芽生える事象より着想に至った。 【研究全体の概要(5年間)】①~⑤により段階的に進める。①“地域への愛着”概念分析、②“地域への愛着”尺度開発、③構成概念を骨子にプログラム考案・試行、④プログラム評価、⑤プログラム改良・洗練 【これまでの研究活動の進捗】①②③まで進めた。「“地域への愛着”と生活・健康に関する調査」の分析を行い、“地域へ愛着”を測定する尺度を開発した。“地域への愛着”の構成概念や関連要因を骨子にプログラムの目標・内容を設定、試案を作成した。『“地域への愛着”を育む健康増進プログラム』(試案)を実施した。プログラムは、協働自治体との共同事業として実施し、参加者募集・実施にかかわる個人情報は自治体が管理する体制ををとった。1回2時間、全4回のプログラムを通し、“地域への愛着”の構成概念を段階的に獲得できるように目標を設定し、講義・グループワーク・全体共有を組み込んだ。住民特性に相応しい内容になるよう配慮し、地域の資源を活用するように工夫した。対象地域は、介入の必要性の高い小学校区単位の新興住宅地を選定し、50~60歳代の全住民に個別通知を送り参加者を募った。参加者は20名であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度当初の計画のうち一部延期(繰越承認)となった部分があったが、時期をずらして『地域への愛着”を育む健康増進プログラム』(試案)の作成、および実施まで完了することができた。参加者のリクルートとして、対象地域の50~60歳代の全住民に個別通知で案内状を送付したが、実際の応募数は想定よりもやや少ない20名であった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、参加者20名の日常生活における変化について、その経過を丁寧にフォローすることにより、介入の効果を評価できる。平成26年度は最終年度であるが、順調に研究の最終段階に入る予定である。 日常生活における介入効果を検討するため、プログラムの1ヶ月後、3ヵ月後、6ヵ月後まで質問紙調査(郵送法)を継続的に行うこととする。効果を測定する尺度には、“地域への愛着”尺度、健康関連QOL尺度等を用いる。加えて、近隣・地域の認識の変化について自由記載欄を設ける。 なお、プログラム実施の際には、会場で開始直前と終了直後に、同様の調査紙調査を行っている。また、直後には、グループインタビューも行っている。 さらに、プログラム終了後に、参加者20名が自主的なグループとしての活動を始める兆しがあたっため、地区担当保健師によるモニタリングも平行して行うこととする。
|