各参加者が平成23年度に立案したミニプロジェクトの見直しを行い、実践、振り返りを行った。専門職のミニプロジェクトは、直接ケアに関わらない地域住民へアクセスする方法を探り、素人である地域住民の方は、地域での介護や看とりが具体的に思考された内容となった。 活動の振り返りにおいて専門職である訪問看護師の気づきは、「最期まで自宅で暮らすには『コミュニティづくり』であると行き着き」、その活動は「地域を大切に思う気持ち」を持って「地域住民から教わることが一番」であり、「専門職である前に、一人の地域住民として行動すること」が重要であるというものであった。また、病院の看護師は、末期がん患者の退院に際して在宅ケア提供者へ「院内での様子を伝えるだけだった」ことから、「自宅での安心」や「家で暮らすためにその人が持っているネットワーク」に感受性が高くなり、これらに対する患者・家族の言動を意識するようになる変化が見られた。 地域住民の気づきは、死とは「一人で暗い世界へ行く」というイメージが、「自然のサイクルのなかの出来事で、最期を支えてくれる人々の姿が見えるようになった」ことや、「サービスの受け手方に大きな壁がある」、「専門職が」情報を共有していないことが、利用者を戸惑わせている」など、専門職との対話や専門職同士のディスカッションの場への参加を通して得られたものが多かった。 専門職と素人である地域住民との対話は、自宅での療養や看取りというテーマにおいて専門職と地域住民との双方に実感をともなった学びをもたらし、このような経験の積み重ねが拠点作りのベースとして重要であることが示唆された。 10th APHC及びCARN 2013において研究成果の一部を発表した。
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