研究課題/領域番号 |
22390451
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研究機関 | 財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
田上 美千佳 財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (70227247)
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研究分担者 |
新村 順子 財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (90360700)
大竹 眞裕美 福島県立医科大学, 看護学部, 准教授 (70315670)
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キーワード | 精神疾患患者 / 家族 / 精神科外来 / 看護支援 / 相談機能 |
研究概要 |
精神疾患患者および家族の適切な精神科外来受診の支援体制の構築に寄与し、精神疾患患者の早期支援ならびに再入院の予防・病状悪化の早期発見・対応による患者と家族への地域生活の促進を図るためのケアの方向性を検討することを最終目的とし、精神科外来支援の実態を把握して課題を明らかにするための検討を行った。精神科救急入院料病棟(いわゆるスーパー救急)の急速な全国展開は、精神科救急医療施策上の大きな課題となりつつある。 このため、スーパー救急病棟ならびに精神科急性期病棟からの退院および外来ケアに焦点をあてた。 全国すべて(2010年現在80機関)のスーパー救急病棟の看護管理者を対象とした質問紙調査を行い、スーパー救急病棟退院後の地域生活に向けた看護ケアの実態を把握した。その結果、1)退院前訪問・集団OT、個別服薬指導といった診療報酬で点数化しているケアは実施率が高かった。2)外来と病棟で情報交換等の取り組みを実施している機関は約70%であったが、患者の初回受診の確認を行っている機関は34%に留まっていた。受診継続への支援は、患者の再発・再入院予防には重要な要因であり、病棟と外来の継続性を強化する連携システムの必要性が確認された。 また、スーパー救急病棟運用状況と看護ケアの実態との関連を把握した。すなわち、3)スーパー救急病棟認可期間と看護ケア・ケアプログラム:家族との面接については、認可期間3年以上の病棟で多く行われていた。つまり、認可機関の長い病棟ほど家族へのケアを必要なケアと位置づけているといえる。4)在宅移行率と看護ケア・ケアプログラム:看護ケアならびに集団/個別ケアプログラムとの関連はみられなかった。5)新規患者率と看護ケア・ケアプログラム:新規患者率70%以上の病棟で患者との個別面接がケアとしてより多く実施されていた。 さらに、全国のスーパー救急病棟看護師を対象に自記式質問紙調査を実施し、67機関、561件の有効回答を得た。 退院後の地域生活の観点から、退院時の社会資源導入35%、退院前訪問は11%であった。また、救急・急性期病棟退院者を対象としたインタビュー調査を実施(63ケース)しており、ユーザーの退院後の生活の実態の分析から支援内容や方法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の方法が、1.精神科外来でのケアの現状・ケアニーズ把握のための面接調査、2.全国精神科スーパー救急病棟質問紙調査実施・分析、3.支援プログラム(モデルづくり)策定準備である。今年度は1,2を中心に実施しており、1.2の実施並びに結果の分析を行いながら、これらの過程から3の支援プログラム(案)の策定も行ったため順調な進展である。
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今後の研究の推進方策 |
1.1)精神科外来でのケアの現状・ケアニーズ把握のための面接調査分析、2)全国精神科救急病棟質問紙調査、および看護師調査データのサブカテゴリーをふまえた分析により全国的な退院支援および外来ケアにおける実態と課題を明らかにする。 2.策定した支援プログラム(モデル)の介入研究実施に向けた準備を行い、介入研究に着手する。
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