研究課題/領域番号 |
22401001
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
吹田 浩 関西大学, 文学部, 教授 (80247890)
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研究分担者 |
伊藤 淳志 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (50159860)
西形 達明 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (40121892)
西浦 忠輝 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (20099922)
沢田 正昭 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (20000490)
安室 喜弘 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (50335478)
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キーワード | エジプト / サッカラ / マスタバ / 文化財 / 世界遺産 / 修復 / レリーフ |
研究概要 |
古代エジプトの典型的な文化財である石造建造物の保存状況、劣化の現状、エジプトの遺跡管理当局の対策を、エジプトのサッカラ地域にあるイドゥートのマスタバ墓を中心にしてエジプト学、建築工学、地盤工学、保存科学、文化財修復技術の観点から調査し、文化財の保全と活用について改善策を提案する研究を行った。 2011年の夏期にサッカラ地区にあるイドゥートのマスタバ内で、劣化した壁面を高精細カメラで記録作成を行った。これによって、リリーフの劣化状態を正確に知ることができるようになり、情報リテラシーの観点から現地調査から得られた情報を蓄積し、活用することができるようになった。建築・地盤上の観点からは、マスタバの保存上の問題点を検討し、エジプト学からは、本来のマスタバの形状と現状を比較して、保全上の問題点を探った。劣化状態の調査とその評価については、保存科学の観点も含めて、それぞれの研究の観点からの検討を行い、その成果を総合化して、保全上の問題と研究の方向性を検討した。また、マスタバ内に気温や相対湿度を記録するためのダータ・ロガーを設置し、来年次以降、マスタバの内の環境をベースに保全策を検討できるようにした。 なお、海外研究協力者であるカイロ大学のアフメド・シュエイブ氏とナショナル・リサーチ・センターのアーデル・アカリシュ氏から、エジプト文化財の石材劣化の特性の解明、および、エジプト文化財の化学的劣化特性の解明についての情報を入手した。また、日本においても上記のアフメド・シュエイブ氏の助言をもとに石造建築物の保全技術の基礎的な実験と実習を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エジプトでの現地調査は、2011年1月末に勃発したエジプト革命とその後の混乱の影響を受けざるを得なかった。夏期の調査は問題なく行ったが、2012年1月から2月に計画していた冬期の調査が議会選挙をめぐる情勢の悪化のために断念したため、一部、現地調査を国内での研究で埋め合わせた。
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今後の研究の推進方策 |
次期調査は、2012年度の夏期に現地のサッカラで調査を行う。これによって、現地で必要なマスタバの劣化に関する情報収集を基本的に終える予定にしている。秋以降は、得られたデータを国内での分析し、劣化の原因とその評価を行う。これを踏まえて、保全策の提示できるように、データを整理する予定である。
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