研究課題/領域番号 |
22401002
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
中島 経夫 総合地球環境学研究所, 研究部, 客員教授 (60139938)
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研究分担者 |
槙林 啓介 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (50403621)
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キーワード | 中国 / 新石器時代 / 魚撈と稲作 / コイ科魚類 / 咽頭歯遺体 / 漁撈具 / 養鯉 |
研究概要 |
中国河南省舞陽賈湖遺跡の咽頭歯遺体の分析および漁撈具の調査を実施した。 咽頭歯遺体については、昨年度、コイ属の咽頭歯の計測を実施したので、今年度は、コイ属以外の咽頭歯の同定を行った。その結果、賈湖遺跡全体の咽頭歯組成が明らかになった。コイ属が全体の75%を占め、ソウギョ、クルター亜科(大部分がMegalobrama)、アオウオが、それぞれ、9~7%で、フナ属が2%、その他にバルブス亜科からなっていた。コイ属は、コイCyprinus carpioとCyprinus lonzhouensisからなることが分かった。中国の新石器時代の遺跡や縄文・弥生時代の遺跡では、一般にフナ属が大部分を占めることが多く、賈湖遺跡は特異である。これらの結果を公表するために、原稿を作成中である。 漁撈具については、まず賈湖遺跡出土漁撈具の検討を行った。出土漁撈具には骨製ヤス・銛と漁網錘とがある。検討の結果、前者は賈湖遺跡の時期に後続する仰韶文化期以降には見られないタイプであることがわかった。漁網錘は、特異な形態をしており、土器の足などを転用していることが確認できた。こうしたことから、同遺跡の漁撈が後の時期に普遍的には見られないものである可能性があることがわかった。 また、河南省廟底溝遺跡仰韶文化期(河南文物考古研究所および同研究所新鄭工作站)と、同省二里頭遺跡二里頭文化期(社会科学院考古研究所二里頭工作站)の出土漁撈具を観察し、賈湖遺跡出土漁撈具との比較検討を行った。結果、賈湖遺跡出土漁撈具の文化的系統の検討を今後の課題として挙げるにいたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
このプロジェクトを開始する以前から、社会科学院考古学研究所と良好な協力関係があり、賈湖遺跡の咽頭歯リストの作成など準備が十分に行われていたため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、賈湖遺跡からの咽頭歯遺体の分析結果を論文化し公表する。それとともに、周辺遺跡出土の咽頭歯遺体ならびに漁撈具の検討を継続して行う予定である。
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