研究課題/領域番号 |
22401002
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
中島 経夫 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (60139938)
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研究分担者 |
槙林 啓介 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 講師 (50403621)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 淡水漁撈 / 稲作 / 魚類遺存体 / 新石器時代 / 咽頭歯 / 中国 / 考古学 |
研究概要 |
イネ遺存体が出土する中国新石器時代の遺跡からは、コイ科魚類遺存体も大量に随伴しているにも拘わらず詳細な研究は全く行われていない。本課題ではコイ科魚類咽頭歯遺存体と漁撈具等の関係遺物について詳細な分析を行い、稲作開始期の漁撈(養魚を含む)と稲作の関係を解き明かす。 これまでにイネ遺存体が随伴する代表的な、1)浙江省田螺山遺跡、2)河南省賈湖遺跡の咽頭歯遺存体についての分析を終えた。1)の成果は,産卵期の魚を捕り、保存加工していたこと。漁法は刺網で、原始的な養鯉はおこなわれていなことなどを発見した。これらはすでに公表した。2)では、魚の種構成から、当時の河南の気候が、考えられていたよりも温暖であること。3つの文化層のうち、前期では産卵期の漁撈、後期では原始的な養鯉が行われていたことが明らかになった。 漁網錘の研究では、長江型土錘や管状土錘が長江下流域・江蘇平原に出現したのち、さらに河南地域や山東地域へと拡大していることがわかった。このことから、それら漁網錘は、水辺環境における漁撈や稲作を内包した広範囲経済のもと出現したことを表し、その後の分布の拡大は、漁撈と稲作が個別の生業類型として独立しながら展開したことを示していると考えた。 これまでの成果から、漁撈と稲作の関わりについてまとめてみる。後氷期になって食料資源の転換をせまられた人々は、長江流域では、水辺環境に定期的に産卵にやってくる魚群をみつけ、それをきっかけに水辺の資源を利用するようになった。その中に野生イネが含まれ、漁撈と野生イネの採集のセットが成立、イネについては採集から栽培へと発展する。コイについても原始的な養殖が行われるようになる。原始的な養鯉には、水を制御する技術が必要で、この技術が水田稲作に転用されたかもしれない。その後、長江流域で発達した漁撈技術は、稲作ときりはなされて、河南地域や山東地域へも広がった可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イネが出土する遺跡の代表的な2例について咽頭歯遺存体の詳細分析を終えた。これらについては、すでに公表、あるは本年度中に公表もしくは投稿できる状態である。また、成果発表会は、昨年度末(2013年3月)に行った。中国語および日本語で、これらの成果をまとめ、報告書を作成する。
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今後の研究の推進方策 |
稲作開始期のイネ遺存体を伴わない遺跡の咽頭歯遺存体との比較をしたいと考えている。さらには、稲作社会が成立した時代の遺跡、国家が成立した商代の遺跡(殷墟)から出土する咽頭歯遺存体と漁撈具や養魚に関わる遺物の詳細分析することが、今後の課題となっている。
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