H24年度も2月に空撮と現地調査を行った。垂直写真を撮る予定のエクスプロラドーレス氷河とソレール氷河のうち、前者には低い雲がたれ込み、垂直写真撮影はできなかった。ソレール氷河では予定通り高度4000mから垂直写真撮影を実施した。その後、飛行高度3500~800mで氷原を周回飛行して氷河末端を空撮した後、エクスプロラドーレス氷河に戻ってきたが、午前中と同様にべったりとした雲に覆われていた。この為、高度を800mぐらいまで下げて雲の下に入り空撮をせざるを得なかった。一部垂直写真撮影を試みたが、高度が低すぎて残念ながら実用にはならない。 空撮の後、エクスプロラドーレス氷河で現地調査を行った。氷河表面の変化を記録するべく、正面のモレインに定点カメラを設置し、1日に1回撮影するよう設定した。さらに氷河を歩き氷河表面の変化を観察し、定点写真撮影を行った。昨年、現地に来られなかったので2年振りの観察である。その結果、氷河表流水路がある部分は驚くほど変化していた。 昨年、一昨年の空撮写真との簡単な比較では以下のような変動が認められた。ソレール氷河の末端はここ3年ぐらい前進していて、数年前に前面のモレインから離れていた末端が現在、モレインに接している。この前進は、一時的なものと解釈している。サン・ラファエル氷河、グアラス氷河、レイチェル氷河はほとんど変化していない。一方、サン・キンティン氷河はカービングによる後退を継続しているが、以前より活動は減少している。このことはシュテフェン氷河も同様である。コロニア氷河の後退が特に顕著で、末端から数キロ上流左岸にある湖カチェット・ドスの影響によるものと考えられる。この湖は2008年に初めて氷河の下を通って短時間で排出された。その後、このような排水の頻度が高くなったので氷河がもろくなり、 カービングによる後退が加速されたと解釈できる。
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