研究課題/領域番号 |
22401006
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
吉野 和子 法政大学, 文学部, 教授 (00101329)
|
キーワード | ヒツジの移牧 / 社会体制の変革 / 植生の変化 |
研究概要 |
2011年8月~9月ルーマニアの現地調査を実施した。日本から現地調査に加わったメンバーは、代表者吉野和子の他に日本大学森和紀、駒澤大学清水善和、法政大学学生稲守良介である。 1.夏のヒツジの宿営地である南カルパチア山脈、チンドレル山地における本年度のヒツジの移牧の実態を調査した。その結果、山頂部へ連れて行くヒツジがEU加盟後激減し、樹木の進入が著しくなったことがわかった。樹木の進入は樹齢から、革命後から初まっていることがわかった。 2.チンドレル山地山頂部では、EUの補助金を得て、山頂部の草地を維持すべく、稚樹の伐採が2010年度実施された。 3.EU基準に従って、ヒツジによる環境へのストレスを制限するようになった。河川での羊毛の洗滌ができなくなった為、水質汚染はなくなり、河川の水質が本来の姿に戻った。 4.EU加盟後ヒツジの二重移牧が消滅したかに思われた。しかし、現在も夏山頂→冬ドナウ河畔へ徒歩での移牧を行なっているグループがある。少数ではあるが、二重移牧が続行していることを確認できた。 5.バナート平原、ドナウデルタでは、チンドレル山地山麓のジーナ村、ポヤナシビウルイ村を基地とする人々が定住し、大グループ(1000頭以上)のヒツジを扱う傾向が強くなってきた。 本年度は(1)~(5)の結果が得られた。これまでの多年度にわたる結果とともに和文報告書「ヒツジの移牧-東欧南部における社会体制の変革に伴う変貌-」としてまとめることができた(印刷中)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は天候にも恵まれ,ルーマニア山頂部での夏の宿営地の調査が十分に実行できたため,成果が上がっている。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は,これまでの成果を日本地理学会のシンポジウムで発表し討議した上で,論文としてまとめる予定である。
|