本日豪比較文化研究は、文化多様性の理解の、環境持続性理念発展への貢献を主な課題とする。捕鯨問題など海洋環境、資源利用を巡る国際問題、特に日豪間の世論の違いなどから起こる様々な摩擦を分析、その将来的方向を考える。特に環境、資源利用における倫理・精神文化に焦点を当てる。成果としては、二国間、また国際社会での様々な対立を解消するだけでなく、真に持続可能な社会の達成に必要とされる文化社会的要因の理解を目標とする。研究全体は1.現状の深い理解、2.対立の影響を受ける両国の地域コミュニティーの現状、見解の把握、3.解決方法を地域の視点から考察/計画/実行、という三段階を計画した。22年の目標を上の1、2とし、各地の歴史、世界的、かつ日豪間の世論、報道の影響について現状を調査した。 1、調査地:(日)和歌山県東牟婁郡太地町、(豪)、西豪州ブルーム、アルバニー:海洋資源利用従事者とのインタビュー、コミュニティーフォーラム、ドキュメンテーション(日時:太地:7、1、2月、豪:8月).解決方法の一つとして、両町の姉妹提携30周年記念事業を提案、本年度実施。この事業の両町、二国間、世界的世論への影響を今年度分析。 2、文献調査:研究全期間にわたり文献調査を行った。(日)山口県長門、長崎県生月島、千葉県和田浦、宮城県鮎川、北海道網走(豪)NSW州バイロンベイ、QLD州モートン島の歴史、現状。 3、ドキュメンテーション:各地域にある海洋資源に関する文化遺産、コミュニティーの意見を描写、多地域の交流に役立つもの(出版交渉中) また、本研究の一成果として、日豪交流共同事業(太地町、西豪州ブルーム)、関連シンポジウムを次年度に計画するに至った。これは両町の姉妹提携が、2年前の捕鯨論争により中断が危ぶまれたことを踏まえ、研究者の提案による交流共同事業を計画した。友好関係の促進は、国際摩擦の解決の一助となると期待される。
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