当該研究は、研究題目にもあるとおり、イラン・ザミーン、具体的にはイラン・イスラーム共和国とアフガニスタン・イスラーム共和国における議会主義の展開を実態に沿って比較検討することを目的としているが、平成24年度も前年に続き、アフガニスタンの国内治安の好転が望めなかったため、専らイランを対象として研究を進めた。 既に構築してあるイラン側のカウンターパートであるイスラーム議会図書館資料センターとの協力関係(協定書締結)に基づき、同資料館所蔵のイラン議会関係資料の調査を行うと尾同時に、同図書館が中心となり、近年盛んに実施されてきたイラン議会史を巡るコンフェランスにも参加する機会を得た。そこで得た、イラン本国における議会研究の現状認識を踏まえ、イランでもこれまで全く手をつけられてこなかった「議会内規」に着目し、その邦語訳と解説を付す作業を行った(その成果は平成24年度末に出版の予定であったが、編集作業の遅れもあり、次年度にまわされることとなった)。 議会内規は、これまでのイラン議会史研究の盲点であると同時に、イランにおける議会の性格や位置を議会主義の中に正当に位置づける際の重要な資料になると判断される。つまり、イランにおける議会文化の根幹を成す重要な資料であり、ひいてはイランにおける政治文化を考察する際には欠くべからざる資料になると考えられるのである。 加えて、イラン側カウンターパートとの共同研究の一環としては、議会図書館資料センター長が昨年度に書き上げた、イラン議会(具体的には、イラン国民議会第一議会)の財政面、組織面に新たな光を当てた(当該文に類書は無い)重要な成果(ペルシア語)の日本での出版・刊行に向けての作業も進めた。
|