研究課題/領域番号 |
22401011
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池田 光穂 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 教授 (40211718)
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研究分担者 |
小林 致広 京都大学, 文学研究科, 教授 (10145823)
太田 好信 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (60203808)
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 先住民運動 / 先住民 / 政治的アイデンティティ / メキシコ / グアテマラ / 文化 / 政治 / 先住民政策 |
研究概要 |
メキシコおよびグアテマラの先住民について、彼/彼女らを本質主義的な文化的アイデンティティの担い手とみるのではなく、周縁化による排除から自らの権利行使としての国政への参加や存在の文化的顕示の実践、すなわち先住民の政治的アイデンティティの主体(およびその構築)という観点から捉え直すことが本研究の目的である。この目的を完遂するために下記のような調査研究を行った。本年度の池田は、米国サンフランシスコで開催されたアメリカ人類学会総会に参加し、世界の先住民運動の権利運動に関する学会発表を聞き、資料と情報を収集した。その後、メキシコ・チアパス州ならびにグアテマラ共和国サン・マルコス県において、住民の政治参加に関する現地調査をおこなった。太田はグアテマラ共和国チマルテナンゴ県サン・ホセ・ポアキル町と近隣集落での実地調査をおこなった。そこで内戦の経験についての語りのなかに冷戦以前の19世紀末にまで遡れる行政自治意識の歴史認識が見られることを確認することができた。小林は、メキシコで開催されたゲレロ学会で、「文化遺産」を巡る先住民社会の対応の多様性に関し現地研究者と意見交換をした後、メキシコ・トトナカ地方の先住民社会の二つの「世界遺産」の資源活用の実態について調査した。狐崎は、グアテマラにおける地方分権化と公共政策、政治的アイデンティティをテーマに、首都グアテマラ・シティにおいて経済企画省・社会開発省・農牧省等の中央官庁幹部への聞き取り調査と資料収集を行った。研究協力者の滝奈々子(大阪大学)はメキシコのトラヤカパンの吹奏楽団ならびにグアテマラ共和国のアルタ・ベラパス県での伝統音楽ならびに、新世紀以降に若い世代に支持を集めつつあるマヤロックについての基礎資料の収集をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究分担者である太田好信が提唱した「政治的アイデンティティ」として先住民の現在をみる視座を、メキシコとグアテマラの先住民の現地調査という共同研究を通して明らかにしようとするのが本研究のテーマである。このことにつき調査開始3年間の民族誌資料の蓄積が整いつつあり、資料の分析に供することができるよう準備中である。これらが次年度の最終年度にむけて頻繁に比較検討されることで、本研究班のみならず、メンバー外の同地域の研究者にも大いなる研究調査情の進展をもたらすことが期待できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、本共同研究調査の最終年度にあたり、引き続いての民族誌資料の収集と同時に、これまでの調査資料の最終的な整理と分析に集中するつもりである。平成25年度の日本ラテンアメリカ学会第34回定期大会分科会パネル「メキシコとグアテマラにおける先住民・アイデンティティ・自治をめぐる諸問題」で、平成24年度までに本研究班で参加した全員の研究者が参集し研究発表する予定である。また、同時並行して、本研究テーマをより広範な地域で展開させるか、あるいは同一地域において本研究に関連づけられながらより多角的な総合的研究にするのかについては、現在模索中であり、今秋における新規の科学研究費補助金の申請をめざして鋭意検討をしているところである。
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