研究課題/領域番号 |
22401016
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
浜渦 辰二 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70218527)
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研究分担者 |
竹之内 裕文 静岡大学, 創造技術大学院, 教授 (90374876)
高橋 照子 西武文理大学, 看護学部, 教授 (80171502)
中河 豊 名古屋芸術大学, 音楽学部, 教授 (20198047)
備酒 伸彦 神戸学院大学, 医療福祉学部, 准教授 (80411883)
中村 剛 関西福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (00412099)
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キーワード | 北欧ケア / 実地調査 / 理論的基礎 / 哲学的背景 / 学際的研究 / 生活世界 / 他 / ケアの倫理 |
研究概要 |
昨年度は、4名がそれぞれスウェーデン、デンマーク、ノルウェーで研究者や施設を訪問し、視察・意見交換・情報交換を行う一方で、年4回の国内の研究会を通じて、国内外の研究者を招聘して情報提供を仰ぐとともに、互いの研究について情報交換・意見交換をした。国内からは北欧教育の研究者を招いてシンポジウムを行い、国外からは、3月の大地震・大津波・原発事故などで来日を延期されたスウェーデンの研究者と専門職の二人を10月に招へいしてシンポジウムを開催した。半年遅れではあるが、ケア理論とケア現場を繋ぐための一つの視点を共同研究メンバー全員で共有することができた。 それぞれに研究を進める際の役割分担としては、次の通りである。竹之内裕文はスウェーデン・ボラス大学に客員教授として長期滞在し、哲学・死生学を中心に北欧ケアの研究を進めた。高橋照子は看護学分野のケア概念の再考に基づいて看護における北欧ケアの特性を考察した。中河豊は主にノルウェーの社会福祉制度における音楽療法のありかた、これと関連してノルウェーにおける哲学の発展について研究を進めた。備酒伸彦は(1)北欧におけるリハビリテーション・介護が行われる場所の変遷(施設ケア→在宅ケア(ケアつき高齢者住宅)→在宅ケア(元々の住まい))にかかる臨床的な研究と、(2)地域包括ケアを推進するわが国の政策と、北欧ケア政策の比較に関する研究を進めた。中村剛は現地調査を踏まえ、北欧ケアの中心的価値である連帯の哲学的背景の探究を進める。福井栄二郎は高齢者を対象として親密圏の比較文化的ケア論の研究を進めた。竹内さをりは認知症者に対するケアおよびリハビリテーションの比較研究を進めた。前野竜太郎は、重症心身障害児・者の生活世界におけるリハビリテーションの調査・研究を進めた。山本大誠は昨年度の地域ケアの実施調査を踏まえて、北欧における精神科領域の理学療法学を継続的に研究し、さらに地域ケアへの移行について実施調査を通じた具体的取り組みの研究を遂行した。浜渦辰二は北欧各国の連携協力者とも意見交換をしながら、これら研究の統括を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災の影響で、平成22年度末に予定していた外国人招聘の企画が半年延期されたため、次に予定していた外国人招聘の予定が調整できず、あきらめてこちらから訪ねていくこととした。そのため、全員が情報を共有しにくくなったが、それでも他の方法を取りながら、何とかできるだけ補って進めてきているので、おおむね順調とまでは言えないかも知れないが、遅れているというほどではない。
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今後の研究の推進方策 |
すでに、最終年度の計画は決まり、5月5日に行った市民向けシンポジウムから始まって、6月と11月の2回の研究会を計画し、最後に、3月に再度市民向けのシンポジウムで研究成果を発表する予定である。今年度も3人が現地調査を行い、研究会で報告をしていただく予定で、外国人招聘が予定通りに行っていない分を、こちらから訪れることでカバーをしているが、それにも日程調整が必要となっている。研究成果を書籍の形で残すことも併せて検討している。
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