本年度は本研究計画の着手年度として、インド系および華人系ディアスポラの宗教事情を予備的に調査し、概要を把握することに努めた。調査対象地域は主として東南アジアで、シンガポール、タイ(バンコク首都圏)、インドネシア(東ジャワ州スラバヤ市)について、基礎調査を行った。各調査地では、ヒンドゥー教および道教の寺院について、政府関係者や寺院関係者による補助を得ながら調査を行った。また、インドにおけるオリジナルなヒンドゥー教の寺院儀礼の調査のため、南インド・タミルナードゥ州政府の学校教育相の特段の協力を得て、タミルナードゥ州南部の諸ヒンドゥー寺院を訪れ、インタビュー、儀礼の観察、資料収集を行っている。文字化されていない非バラモン的な寺院儀礼や寺院組織の状況を知り得たのは大きな収穫で、来年度以降の調査研究に有効に用いられるであろう。 今年度に発表した研究成果としては、ディアスポラを含む海外におけるヒンドゥー教徒の宗教意識の最新動向を扱った論文、インド映像産業の新傾向と海外市場について宗教的側面にも言及してレポートしたシンポジウム報告要旨、およびインドのヒンドゥー民話の海外でのオペラ化についての報告論文の計3編(うち査読付き2本)がある。 次年度以降は、中国系の宗教についての成果発表・公開が課題の一つとなる。
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