研究概要 |
本年度はカナダのブリティッシュ・コロンビア大学図書館に所蔵されている、GHQの映画政策を主導したデヴィッド・コンデの資料のデジタル化を終了し、公開した。これにより、当初の研究目的を達成した。本年度の実施事項は下記である。 【資料のスキャン作業の終了】保存状態からスキャニングに細心の注意が必要なため、作業が残されていた資料等についても終了した。PDFファイルで約2,600ファイル、全データ量は約41GBに及ぶ。【デジタル資料のリスト整備】スキャニングが終了した全資料につき、公開のためにファイルの格納場所等を加えたリストを整備した。リストの記載項目は記載順に、資料タイトル、ページ数、資料発表年月日、ファイル番号、ブリティッシュ・コロンビア大学による注記、ファイルの有無、ファイルの格納場所、本研究グループによる注記である。さらに、デジタル資料の閲覧方法につき解説文書を作成した。【資料の配布方法の決定】デジタルデータを閲覧の簡易性等からSDカードに保存することとし、配布窓口を決定し配布体制を整備した。 【関連資料の調査】ハワイ大学マノア校図書館を訪問し、GHQの資料を閲覧し、同図書館関係者らにインタビューした。 【解説報告書の作成】本研究の作業の経緯、コンデの紹介、資料の分析を報告書に纏めた。 【資料の公開および配布】ブリティッシュ・コロンビア大学等の関係図書館に寄贈した。これにより、日本のみでなく北米においてもデジタル資料の閲覧が可能となった。また、実費にて希望者に資料と解説報告書を配布した。 GHQの対日文化政策に関する研究は、GHQの公文書とプランゲ文庫が、国立国会図書館等に所蔵・公開されてから進展した。今後は本研究によるコンデ資料の公開で、戦後米国の対日文化政策に関する研究がさらに促進され、米国は映画文化を統治にどのように利用していたのか、その全貌が明らかになることが期待される。
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