研究課題/領域番号 |
22401027
|
応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
秋谷 裕幸 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (10263964)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 中国語 / 方言 / びん語 / びん北区方言群 / 浦城県 / フィールドワーク / 呉語 |
研究概要 |
研究計画調書に記した研究計画によると、平成24年度の中心的課題は「浦城県仙陽方言の調査・データ入力」である。 仙陽方言については平成23年度にはすでに調査・データ入力に着手していたため、また平成24年度前学期、愛媛大学外国派遣研究員として中国広東省に滞在し十分な研究時間を確保することができたため、この目標は前学期中に完全に達成することができた。同時に、臨江、観前、水北街、山下4方言についても、データ入力を前学期中に完成させた。 また、臨江方言と邵将方言群における濁平声の分化が著しく一致することを見いだしたため、邵将方言群に属する光澤方言の調査も追加でおこなった。(2012.12.22---2013. 1.7) 年明けから計画を前倒しで調査報告《浦城県境内びん北区方言研究》の執筆に着手した。音韻部分に関しては福建師範大学・陳澤平教授、語彙部分に関しては浙江大学・汪維輝教授の詳しいコメントを得ることができた。 平成25年度は本研究課題の最終年度であり、《浦城県境内びん北区方言研究》の初稿完成が最大の目標である。この目標に対して、十分な態勢を整えることができた、平成24年度の研究はこのように概括することができると思う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記した研究計画では、平成24年度までに浦城県山下、臨江、観前、仙陽、小溪5方言の調査およびデータ入力を終えることになっている。小溪方言を水北街方言に変更した以外は、すべてこの計画通りに進展している。 平成24年度にはさらに調査報告《浦城県境内びん北区方言研究》の執筆に着手することもできた。とくに臨江方言に関してはこの報告書の一部をなす論文「福建省浦城県臨江方言的音韻特徴」が《中国方言学報》第三期への掲載が決定しており、また臨江方言に関しては「びん北区浦城臨江方言和邵将区光澤寨里方言的古濁平声分化」も日本国内で公刊した。 調査報告の内容面に関しても、福建師範大学・陳澤平教授(音韻面)、浙江大学・汪維輝教授(語彙面)らから詳しいコメントを受けることができている。 平成25年度はこのような背景のもと調査報告に集中する態勢がすでに整っている。そこで「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題最終年度である平成25年度は調査報告《浦城県境内びん北区方言研究》(初稿)の執筆を行う。 データ部分の入力はすでに平成24年度までに終えているので、執筆の中心は第二章第一節「音韻特徴」、第三章第一節「詞彙特点」、第四章第一節「語法特点」そして第五章「結論―浦城県境内びん北区方言的特点及其来源」が中心となる。「音韻特点」に関しては、浦城県方言がびん北区方言群と邵将区方言群の系統関係の近さを証明する重要な特徴を示すことにも言及する。「詞彙特点」部分では、浦城県のびん北区方言が他方言から語彙を借用する、その方策が、浙江省蒼南県および泰順県におけるびん東区方言と著しく類似する点にも言及したい。 調査報告の執筆が一通りすんだ時点で、最後のチェック調査を行う。
|