研究概要 |
平成23年度は,アジア人同士の国際コミュニケーションではどのような言語が使用されるか,国際言語としての英語,東アジア英語などの可能性について考察するために,中国においてアンケート調査(調査対象者は1,746名の大学生)、教員と学生へのインタビュー、授業見学を行なった。アンケートは大学の教室内で配布・回収し、回収率は96.8%であった。また,教室内でインタビューを受けてもよいという学生を募集し,210名の学生にインタビューを行うことができた。23年度の分析においては,主として次のような傾向が伺えた。すなわち,(1)日本人の大学生が韓国人や中国人に話しかける場合、会話がなされる場所によって言語を選択する。例えば、日本にいると、まず、日本語で話しかけるが、韓国にいるとまず、韓国語で話しかける傾向がある。一方、(2)韓国人の大学生が日本人に話しかける場合、自分が韓国にいても他国にいても(英語が話される国でも)日本語で話しかけるという傾向がある。また、(3)香港出身の大学生は,どこにいたとしても,韓国人と日本人に話しかけるときは英語でコミュニケーションをする。(4)台湾人の大学生は,相手が日本人の場合と韓国人の場合で,英語を使うかどうか,統計学的に有意差が認められた。23年度中には研究代表者および研究協力者が,これらの結果について4度の学会報告で議論し,また,中国のGuangxi大学において2回講演した。さらなるデータ収集と詳細な分析を通して次年度以降さらに発展できると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、2ヵ国で、アンケートを配ったり、インタビューしたりする予定だったため、調査対象者は900名、インタビュー調査の調査対象者は50~60名としていたが、中国内6ヵ所でアンケートおよびインタビュー調査を行なうことができた。その結果,アンケート調査対象者は1,746名、インタビュー調査の対象者は210名となった。英語教育に関してこれだけの大規模調査の研究は数少ないので貴重である。国際学会での報告も,当初の計画以上に達成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、2-3ヵ国の大学において学生を対象にしたアンケート調査,学生や教員へのインタビュー調査,授業見学を行ない,データ収集に努める。また,これまでのデータと合わせて詳細な統計的分析を行ない,それらから総合的な考察を行なう。その成果を学会等で発表する。
|