2014年度には国会図書館憲政資料室、ワシントンの国立公文書館において、日加米外交における日本人移民に関する史料の調査を行った。今年度と前年度に収集した史料に基づいて、1907-8年の米国とカナダへの日本人移民の入国制限をめぐる外交危機が日本対外政策及び日英加関係に与えた影響の再検討を行い、具体的には、1)1907年の日英関係の変容の文脈でカナダへの日本人移民制限ををめぐる外交交渉のそれぞれのアクター(ブリティッシュ・コロンビア州政府、カナダ政府、イギリスの植民地省と外務省、日本政府の役割を再検討し、2)カナダ特使ロドルフ・ルミュー労働大臣の日本への派遣をめぐる日本外務省、カナダ政府とイギリスの植民地省と外務省の交渉過程を問い直し、3)1907~1908年の日本人移民制限をめぐる加米交渉の交渉過程を再検討した。その研究成果を2回にわたって国際学術大会で報告した。2014年5月にアジアのアジア研究学会年次大会においては、パネルを組織し、「1907年末~1908年初頭におけるブリティッシュ・コロンビアへの日本人移民の入国制限と日米外交危機」というテーマで研究成果発表を行った。2014年8月にたヨーロッパ日本研究協会の国際大会において、パネルを組織し、「ブリティッシュ・コロンビアへの日本人移民と岐路に立つ日英関係、1898~1908年」というテーマで研究成果発表を行った。2014年11月22日、名古屋大学において、海外のゲスト・スピーカーを招いて、学内外の研究者を招待し、「包摂・排除の歴史と現在―東アジア移民、政策、国境」というテーマで国際シンポジウムを開催した。ヨーロッパ日本研究協会の国際大会において行われた研究成果報告をもとに原稿を執筆し、その大会のパネルの他の3名の参加者と共に、2015年6月に国際学術雑誌『ジャパン・フォーラム』への投稿を行い、査読を経て掲載する予定である。現在審査中である。
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