2011年3月13日から同月15日に計画していた鳥居龍蔵記念博物館、屋島城跡の視察、見学を2012年3月4日から同月6日に行なった。これはロシア研究者3名を招請して2011年3月12日に行なう予定であった公開講演会『渤海を掘るVIII』の後、視察、見学する予定であったが、2011年3月11日に発生した東日本大震災のために、公開講演会を同年3月16日に延期し、この視察、見学を取りやめざるを得なくなったため、12ヶ月延期して実施したものである。この計画自体は、沿海州の遺跡の踏・調査を行ない、多大な成果を残した鳥居龍蔵が収集した資料を展示、収蔵する博物館にロシア研究者を同行して、見てもらうために立案したものである。沿海州の遺跡についてはロシア研究者も大いに関心を示すところであり、この見学によって日本人研究者がこの地域に100年近く前から関心を寄せていたことを理解してもらった。また、屋島城跡は、我々が現在共同調査をしている沿海州の渤海土城であるクラスキノ土城とその城壁や門跡が似ており、それを視察してその構築方法や構造を比較検討することが今後の我々の調査に役立つものと考え、その見学を行なったものである。現在屋島城はその門跡、城壁を修復工事している最中であり、構築方法や構造をよく観察できた。見学に当たっては、調査担当者である高松市教育委員会の山元敏裕氏に説明していただき、詳細にその構造や構築方法を観察、理解することが出来た。この視察、見学は本研究に対する日・ロ両国研究者の問題意識の共有や今後の調査の視点の理解に大いに役立つものであった。
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