研究課題/領域番号 |
22401033
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
清水 信行 青山学院大学, 文学部, 教授 (00178980)
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キーワード | 渤海遺跡 / クラスキノ土城 / 瓦敷き道路状遺構 / 東門甕城 / 公開講演会 / 渤海を掘る / 鳥居龍蔵 / 屋島城 |
研究概要 |
本年の研究目的は、クラスキノ土城の東門甕城の城内への入り口部分(以下内門とする)で検出された瓦敷き道路状遺構の幅を確認すること、内門の構造を明らかにし、内門自体の規模を確認することであった。このため2011年8月29日-9月9日に、内門北側にトレンチを拡張し、道路状遺構の幅を確認し、内門に関わる上部構造(瓦葺きの上屋、門の礎石等)を示す遺構の有無を確かめた。この結果、道路状遺構は、内門の南北に設けた土層観察のためのベルト内でその北側がほぼ隠れており、幅が約3.5m程であることが分かった。また、門に関わる遺構として、時期は未確認であるが、礎石と思われる平石が門の北側に沿って検出された。これは門の構造を知るための遺構として重要である。発掘調査後に、9月10日-14日に極東研究所において、本年の調査によって出土した遺物の整理を行ない、報告書作成の準備をした。 また、本年の調査成果を発表するためにロシア研究者3名を招き、公開講演会『渤海を掘るIX』を青山学院において、2012年3月3日に開催した。昨年3月13日-3月15日に予定していた、鳥居龍蔵記念博物館、高松市屋島城跡の見学視察をロシア研究者と共に行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クラスキノ土城は遺跡の水位が高く、1.5mほど掘り下げると、地下水が噴出する。気候条件によって、深く掘り下げられる年と掘り下げられない年がある。今回は掘り下げが上手くいかなかった。同時に、発掘遺物をロシアから持ち出すことが出来ないため、整理の日を調査日程に加えたため、発掘日数が充分取れなかった。整理日程を発掘調査後、改めて組むことは成田-ウラジオストックの渡航費が二重にかかるため、発掘と整理を連続した日程で組んだ。そのために充分に発掘日数を取ることが出来ず、達成度がやや遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標とした成果は、クラスキノ土城東門の甕城内門の構造を明らかにし、瓦敷き道路状遺構の幅や構築方法を確かめることである。本調査の結果、道路状遺構の幅、甕城内門に伴うと考えられる礎石列を確認できた。それ故、当初の目的をほぼ果たすことが出来たが、新たに内門北側から城壁本体の上に登るための階段と思われる遺構を検出した。2012年度は本研究の最終年度であるため、2013年3月にロシア研究者、日本の研究者を招いてシンポジウムを開き、クラスキノ土城の出土遺物、渤海土城としての役割や意義などについて検討する予定である。また、未解決の新たな問題については科研費を改めて申請し、継続調査を行ないたいと考えている。
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