研究課題/領域番号 |
22401045
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
奥野 克己 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (90250018)
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研究分担者 |
堀内 正樹 成蹊大学, 文学部, 教授 (10209281)
宇野 昌樹 広島市立大学, 国際学部, 教授 (40347612)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アラブ / 中東研究 / ネットワーク / 移動 / グローバル / 多国籍 |
研究概要 |
(海外調査) 研究3年目の今回は〈発展調査〉と位置づけられ、具体的な活動は次のとおりであった。◆奥野;オーストラリアにおいてコプト・キリスト教徒の労働移動(移民・出稼ぎ)について調査を行い、関連資料の収集をした。さらにアルゼンチンにおいて研究分担者、宇野の課題であるレバノン系商人に関する出身地と移動先の関係維持についての調査を協同で行った。2012.08.07-2012.09.07.(32日間)。◆堀内;奥野と同様の調査行程でアラブ移民とアラブ音楽の実態について調査を行う予定であったが、事情により現地調査を実施できなかったため、国内にて前年度の発展調査で得られた資料の分析を行った。◆宇野;アルゼンチンにおいて奥野と協同でレバノン系商人に関する活動と出身地との関係を調査した。その後レバノンにてアルゼンチンに移動した人びとの出身地との相互交流の実態について調査を行った。またベイルートを拠点に研究活動を行っているフランス中東研究所の関係者との情報交換、所属図書館などでの資料収集を行った。2012.08.15.-2012.09.17.(34日間)。 上記一連の調査活動は、中東・アラブ世界に発した「先発グローバリズム」を支える人的ネットワークの現状解明をめざすものであった。中東発のグローバル展開はまさに(地球規模)の広がりを見せており、これまでの基礎調査、拡大調査、今回の発展調査によって、より確かな、そして有用な情報、資料を得ることができた。 (国内活動) ◆奥野、堀内、宇野;第一回国内会議の開催(京都文教大学にて調査資料の検討、2012.11.22-24、初日は奥野、堀内のみ)◆奥野、堀内;第二回国内会議の開催(成蹊大学にて最終年度の調査予定、研究成果発表についての検討、2013.3.26)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査および資料収集を3年間すすめた結果、本計画に着手する時点で想定していたアラブの移動性の高さが見えてきた。移動の実態については予想をこえた振幅の事例、情報が得られている。まさに「先発グローバリズム」の具体的展開として本研究の課題に取り組むことができる結果になっている。この点で、最終年度に予定している補充調査と成果とりまとめの行程は着実に進展するはずである。 個別の研究について、達成度はつぎのとおりである。 奥野はエジプトにおけるヌビア、コプト・キリスト教徒といった人びとの移動について移動形態の実態、相互交流のあり方について十分な資料、情報を集めている。 堀内はアラブ移民とアラブ音楽の実態についてモロッコを基点としたアラブ=アンダルシア音楽の展開として具体的な広がりをつかみ始めている。 宇野はレバノン・シリア系移民が南米までに展開する移動の実態、出身地との関係を着実に解明してきている。
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今後の研究の推進方策 |
本計画の大きな目標である中東発の「先発グローバリズム」解明にむけて、これまでと同様に文化人類学的なフィールドワークの手法を使って予定通り調査をすすめてゆく。 次年度は本研究の最終年度であり、成果をより実りあるものにするために「補充調査」として、各自が長年調査研究を続け、本課題の出発点となったそれぞれのフィールド(奥野はエジプト、スーダン、堀内はモロッコ、宇野はレバノン)で既集の資料、情報の確認作業にあたる。 そして課題である「先発グローバリズム」のメカニズム解明に努める。
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