研究課題
本年度は最終年度にあたり、中国の「国境文化」の問題点の検証を行うとともに、研究に一層の厚みと奥行を得るため、中国とその隣接諸国の双方から、人々の結びつきや、移動の実態、移動と政治との関わり、儀礼の実態に重点を置いて、締めくくりの実地調査を行った。また、国際学会で成果の報告をも行った。塚田は中国とベトナムで、中越国境地域に居住するチワン族およびベトナム側の民族とのネットワークを通じた結びつきについて、とくに擬制的な親族「ラオトン」関係について多くの新たな事例を得て、その特徴について整理を行うとともに、中越両国の民族性の違いについて展望を得た。また、国境を流れる瀑布が観光地化されている現状と現地の住民の間でその利益をめぐって不均衡な状況が見られることなど問題点を明らかにした。長谷川は中国・ミャンマー国境地域の徳宏タイ族自治州で調査を行い、1980年代以降に流入した漢族移民がローカル権力と交渉しつつ、地域ブランド創出の表出と国境文化の形成に主体的な役割を演じていることを明らかにした。樫永は、ベトナム、ラオスの国境文化に関する現地調査を黒タイの各村落を中心に行い、国境を挟んで両国に住む黒タイの文化に関する相互影響関係、国境貿易の村落生活に対する影響を明らかにした。大野は中国北部の内モンゴル自治区とモンゴル国との隣接地帯、とくに旧満州国領内のハイラル市と満洲里周辺で調査を行い、満洲国時代から現在に至るまでの国境地帯をはさんだモンゴル系諸集団の移動がいかに政治と国際関係と連動しているかという点を明らかにした。吉野はタイのユーミエン(ヤオ)の儀礼について調査を行い、儀礼への女性の参加など最新の傾向を明らかにした。松本は、回族の世俗化と現代化について、米国サンディエゴで開かれたアジア研究協会の学会で報告をした。このように調査活動を通じて、中国南北の「国境文化」の核心の把握に接近し得た。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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塚田誠之編『中国の「国境文化」の人類学的研究』(平成22~24年度科学研究費補助金・基盤研究(B)研究成果報告書
巻: 編著 ページ: 39、58
民博通信
巻: 140号 ページ: 24、25
巻: 編著 ページ: 9、38
巻: 編著 ページ: 79、98
巻: 編著 ページ: 113、120
東京学藝大学紀要 人文社会科学系II
巻: 64巻 ページ: 115、123
巻: 編著 ページ: 99、112
巻: 136号 ページ: 14-15
思想
巻: 1060 ページ: 140、155
中国21
巻: 37 ページ: 227、」234
巻: 編著 ページ: 59-78
敬和学園大学人文社会科学研究所年報
巻: 10 ページ: 15、34
『国際シンポジウム報告書III ”カラダ”が語る人類文化ーー形質から文化まで』(国際常民文化研究機構・神奈川大学常民文化研究所)
巻: 編著 ページ: 141、147
今井昭夫、岩井美佐紀編『現代ベトナムを知るための60章(第2版)』明石書店
巻: 編著 ページ: 100、103
巻: 編著 ページ: 132、134