研究課題/領域番号 |
22401047
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
野林 厚志 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 教授 (10290925)
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研究分担者 |
森口 恒一 静岡大学, 人文学部, 教授 (10145279)
松岡 格 早稲田大学, アジア研究機構台湾研究所, 次席研究員 (40598413)
笠原 政治 横浜国立大学, 教育人間科学部, 名誉教授 (70130747)
宮岡 真央子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (70435113)
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キーワード | 台湾原住民族 / 民族分類 / 日本統治時代 / エスニシティ / 人類学 / 物質文化 / 言語文化 / 文化資源 |
研究概要 |
本年度は当初研究計画に沿った調査、研究を実施した。野林(代表者)は原住民族社会における現代の工芸品制作とエスニシティとの関係についての現地調査を実施するとともに、国立台湾大学、国立台湾博物館における日本統治時代の民族資料の内容調査を行った。森口は、日本統治時代における言語学研究の行われた背景に関する文献渉猟を行うとともに、台湾、フィリピンにおいて言語変容に関わる基礎資料の収集調査を行った。松岡は日本統治時代における公的な分類実践と関連の深い戸籍制度に関わる資料の収集調査を行った。笠原は国内外の諸機関において、特に1880-1890年代の文献渉猟を行い、それに基づく初期の原住民族分類についての所見をまとめた。宮岡は、伝統、慣習行事とエスニシティとの関係について、伝統祭祀(ツォウ族/マヤスヴィ)が「重要民俗」に指定された経緯等に関する基礎資料の収集調査を行った。これらの調査、研究からは本研究計画の主要な課題である、日本統治時代の民族分類と現代におけるエスニシティの覚醒から派生している民族分類との連続性や変化を考察していくうえで不可欠となる基礎データが得られた。また、研究計画参加者全員で、現地における原住民族の文化研究の中核機関である国立台湾史前文化博物館(台湾台東市)において、戦後における原住民族社会の変容に関するワークショップ(2012.01)を開催し、台湾の研究者ならび当事者である原住民族の人々と民族分類に関する議論の場を設けた。日本統治時代と現在とを連結させて考えていくうえで、不可欠となる1970年代から80年代にかけての当事者の民族意識やエスニシティに関する基本的なデータを、従来の聞き取り中心の調査から双方的な議論を通した手法によって収集することができ、その内容についての議論を当事者とともに同時に行うことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は計画通りに進行しており、代表者、分担者ともに役割分担について十分理解した各個調査を進めている。また研究計画参加者間の情報交換、研究内容についての議論についても、メール等の通信手段だけではなく、現地ワークショップへの全員参加といったかたちで、効率的かつ効果的に進めていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は計画通りに進行しており、今後の研究遂行上、特に問題は生じていない。当初計画にしたがった調査、研究を配分予算内で遂行していくことが望ましい。
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