研究課題
平成22年9月7日と8日、ペルーの首都リマの教皇庁立ペルーカトリカ大学において「先住民の集住化-比較の視点」と題する国際シンポジウムを開催した。報告者11名、コメンテーター7名、出席者約60名の学術会議であり、報告や質疑はすべてスペイン語でおこなった。このシンポジウムにより、以下の共通認識が得られた。1.スペイン統治下の社会と文化の再編において集住政策がきわめて重要な役割を果たしたこと。2.地域間の共通点と相違点を明らかにするため、比較の視点が有効であること。3.集住政策に関与した人びとのあいだの利害対立や駆け引きが、政策のゆくえを大きく左右したこと。このシンポジウムは海外共同研究者を含めて研究チームのメンバー全員が一堂に会する最初の機会であり、意見交換を通じて今後の研究の方向性を明確にすることができた。平成22年9月中旬、齋藤、網野、溝田の3名はペルー中部山岳地域のワマンガ地方においてフィールド調査をおこなった。集住化により造られた先住民の町のうち、現存するものを訪れて、現状を視察するとともに、植民地時代の巡察記録を参照し、持続と変化を確認した。平成22年夏にはまた、国内メンバーがペルーやスペインの文書館で史料調査をおこなった。そして、帰国後、収集した史料を整理・解読・分析し、国内研究会でその暫定的成果を提示した。その結果、それぞれの専門地域において、どこにいくつの町が造られ、どのような人びとがそこに集められたかが、断片的ではあるが、浮かび上がってきた。
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