研究課題/領域番号 |
22401048
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
齋藤 晃 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (20290926)
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研究分担者 |
網野 徹哉 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (60212578)
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キーワード | 文化人類学 / 西洋史 / ラテンアメリカ / 植民地時代 / エスノヒストリー |
研究概要 |
8月16日と17日、ブエノスアイレス(アルゼンチン)のサルタ州会館において、国立サンマルティン大学社会科学高等研究所と国立民族学博物館の共催で、「植民地期南米辺境における在来の伝統とミッション文化-比較の展望へ向けて」と題する国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムでは、17世紀以降スペイン領南米の辺境地域でカトリックの修道会が推進したミッション建設事業に焦点を当て、アマゾンやチャコ、ラプラタ、チリなどの事例を比較・検討した。その成果は以下の2点にまとめられる。 1.ミッション研究の今後の課題を明確にすることができた。具体的には、個々のミッションや個々の布教区の特徴の解明、ミッションにおける社会・文化的多様性の解明、ミッション内部の「キリスト教徒」と外部の「異教徒」の関係の解明、複数のミッション間の人・モノ・情報の移動の解明などである。これらの課題はいずれも、従来の均質的・閉鎖的・調和的なミッション像を刷新する新たな視点を内包している。 2.異なる地域のミッション研究に従事している研究者のあいだの交流を促すことができた。とりわけ、スペイン領の研究者とポルトガル領の研究者のあいだの意見交換の場を創出することができた。 9月11日、リマ(ペルー)の教皇庁立ペルーカトリカ大学において、ペルー在住の海外共同研究者の参加を得て、アンデス地域の集住政策に焦点を当てた研究会を開催した。また、7月23日と12月25日には、国立民族学博物館において、国内メンバーのみで研究会を開催した。これらの研究会では、各人が研究の進捗状況と最薪の成果を報告し、議論を通じて問題意識を共有した。 南米諸国、およびスペインにおける文書館調査も予定どおり実施した。各人がそれぞれ、調査対象地域の集住政策の実態を解明すべく、関連する史料を探索し、収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内メンバーに加えて、海外共同研究者の積極的な協力により、平成22年度にリマ(ペルー)、平成23年度にブエノスアイレス(アルゼンチン)で国際シンポジウムを開催し、知見の集積と問題意識の深化が期待どおりに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に記載したとおり、平成24年7月、第54回国際アメリカニスト会議の一環として、ウィーン(オーストリア)で国際シンポジウムを開催する。シンポジウムの終了後、その成果に基づいて、メンバー各人がスペイン語の論文を執筆する。これらの論文は、最終的に一冊の論文集として刊行する。
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