研究課題/領域番号 |
22402005
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
小針 進 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (40295548)
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キーワード | オーラルヒストリー / 日韓関係 / 韓国 / 北朝鮮 / 日本政治 / ジャーナリズム / 情報機関 / 新聞社 |
研究概要 |
当年度は、1.崔相龍・元駐日韓国大使(高麗大学名誉教授)に対するオーラルヒストリー実施とその記録化作業(前年度からの継続)、2.康仁徳・元韓国統一部長官に対するオーラルヒストリー実施とその記録化作業(前年度からの継続)、3.崔書勉・国際韓国研究院院長に対するオーラルヒストリー実施とその記録化作業(新規)、4.過年度までにオーラルヒストリー実施を終えた権五碕・元韓国副総理兼統一院長官(元東亜日報社長)の証言記録の冊子化に向けた草稿チェック作業(前年度からの継続)の4点に取り組んだ。 崔相龍氏、康仁徳氏、崔書勉氏の3人に対するオーラルヒストリー実施にあたっては、連携研究者である佐道明広・中京大学教授、高安雄一・大東文化大学准教授、研究協力者である室岡鉄夫・防衛研究所主任研究官とともに実施した。 崔相龍氏からは、日韓関係における駐日大使の役割、小渕首相ら日本の政治家とのやりとり、在任中の教科書問題や歴史認識問題への対処と本国および日本政府とのやりとりなどについての証言が得られた。 康仁徳氏からは、朝鮮戦争後の韓国社会の混乱、当時の韓国軍組織の状況、共産圏研究の起源、インテリジェンス面での日本との協力、4・19学生革命と5・16軍事クーデータをとりまく軍の反応、中央情報部の創設、北朝鮮工作員への対応、朴正煕大統領の政策決定スタイルなどに対する証言が得られた。 前年度からの交渉の結果、当年度から証言を得えている崔書勉氏からは、植民地時代の知識人の様子、解放後の独立運動家の状況、解放直後のカトリック教、張徳秀事件、張勉、金大中、盧基南大主教、マザー・キーオ聖心女子大理事長、田中耕太郎最高裁長官、当時の国会図書館アジア・アフリカ課について貴重な話を聞けた。 なお、3氏の証言のテープ起こし作業も順調に開始しており、記録化も同時進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
崔相龍氏、康仁徳氏、崔書勉氏の3人に対するオーラルヒストリーが順調に実施されており、ほぼ計画通りといってよい。ただし、過年度までにオーラルヒストリー実施を終えた権五碕・元韓国副総理兼統一院長官(元東亜日報社長)の証言記録の草稿チェック作業については、権氏の入院と逝去(2011年11月)にともない、公開のための本人の最終チェックが無理になったことで、遺族とも信頼関係を築きつつ、23年度に予定していた冊子発行は次年度(24年度)とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度に当たるため、オーラルヒストリー実施とその記録化作業に関して、佳境を迎えた崔相龍氏のケースはオーラル作業と記録化の最終的な仕上げを、康仁徳氏と崔書勉氏の2人のケースでは次年度以降につなげられるようなオーラル作業と記録化の新しい段階を、それぞれ達せられるようにする、また、将来的なオーラルヒストリー実施候補者に対する交渉も念頭においていくこととする。
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