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2011 年度 実績報告書

ロシア正教の現代政治的諸相―世俗化が生む地域社会の再編を中心に実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 22402015
研究機関筑波大学

研究代表者

中村 逸郎  筑波大学, 人文社会系, 教授 (40326400)

キーワードロシア正教会 / ロシア政治 / プーチン / 政教分離 / ロシア史 / ロシア帝政 / ソ連邦 / 信教の自由
研究概要

本研究の最大の成果は、プーチンの政治的な存在感がましていく背景に、ロシア正教会と緊密な関係を樹立していることがわかったことである。
プーチンはロシア正教会が1917年ロシア社会主義革命で剥奪された資産(建物、土地、イコンなどの宗教儀式用の備品)を返還する一方で、正教会を利用して自分の政治権力を正当化しようとしている。正教会の思惑としては逆に、政治支配者の支持をえながら社会的な影響力を拡大することにある。プーチンを利用しながら、正教会は社会機能を拡大している。
日本でのロシア研究や報道では、政局をからためた表面的な分析や紹介が主流で、正教会の台頭とプーチンの政治指導力の関係に焦点をあてた分析はない。ながいロシア史の文脈のなかで両者の関係を考察している点で、本研究はおおきな意義がある。
本研究のアプローチの特徴は、徹底的に現地調査している点にある。正教会の関係者は一般信者だけではなく、外国人に宗教組織の内情を打ちあけることはほとんどない。このような状況にあって、本調査ではプーチンと親密な友好関係を築いている司祭をふくむ多くの司祭にインタビューすることができた。同時に、住民生活に正教会がどのような役割をはたしているかについてふつうの人びとにもインタビューできた。このような実証的な調査をつみあげることで、研究成果に客観性を担保した。
現在のロシア社会で生じている正教会の復興は、たんなるひとつの社会事象ではなく、ロシア史のおおきな転換であることが明らかになった。結果的に、帝政ロシア時代(ピョートル1世から1917年まで)の正教国家の形態とのあいだに類似性を確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

最大の理由は、プーチンと親交のあるカリーニン司祭から研究に関する情報と資料を入手できたことである。というのも、ロシア正教会は情報を公開することはほとんどないからだ。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、ロシア国内の辺境地を訪問し、なかでも先住少数民族と正教会の関係を解明してみたい。プーチン政権は正教会の建物を全土に建設しようとしており、少数民族をロシア化しようとしている。つまり愛国主義の高揚に正教会を利用しており、この分析をおこなう。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] ツンドラ・『希望の大地』に住む人びと2012

    • 著者名/発表者名
      中村逸郎
    • 雑誌名

      青淵

      巻: 757 ページ: 24-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 財閥化するロシア正教会2011

    • 著者名/発表者名
      中村逸郎
    • 雑誌名

      ロシア・ユーラシアの経済と社会

      巻: 第944号 ページ: 32-46

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ロシア市民運動の再生-メドヴェージェフ政権下の社会変容2011

    • 著者名/発表者名
      中村逸郎
    • 雑誌名

      ユーラシア研究

      巻: 44 ページ: 14-19

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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