研究課題/領域番号 |
22402016
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木村 宏恒 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (20112386)
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研究分担者 |
近藤 久洋 東京国際大学, 国際関係学部, 准教授 (20385959)
杉浦 功一 和洋女子大学, 人間社会学系, 准教授 (70453470)
金丸 裕志 和洋女子大学, 人間社会学系, 准教授 (10346752)
佐藤 秀雄 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (70320398)
小山田 英治 同志社大学, グローバルスタディーズ研究科, 准教授 (30580740)
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キーワード | ガバナンス / 開発国家 / 民主化 / 地方自治 / 国際開発 / 平和構築 |
研究概要 |
本研究は、8人の途上国開発・政治研究者(全員博士号をもつ)を集めて、「開発途上国におけるガバナンス研究の焦点:民主化、開発国家建設、地方自治」と題した研究プロジェクトとして立ち上げた。計画通り、1年目は、『開発政治学入門:途上国開発戦略におけるガバナンス』と題して、勁草書房から出版することができた(390ページ)。本書が途上国の開発における政治学分野からの最初の体系化の試みであった。 2年目は、『開発政治学入門』で展開した途上国における開発の政治的構成要素について、さらに深めればどういうことになるかを、メンバーに考えてもらい、各種の論文にしてもらった。同時に、研究代表者である木村の国際共同研究ネットワークを動員し、15名(日本人は2名。1名は国際機関勤務)でLimits of Good Governance in Developing Countriesを、木村が名古屋大学との学術交流提携校責任者であるインドネシアのガジャマダ大学の出版会から出版した(570ページ、木村の総論+15章構成)。2000年の国連決議「ミレニアム開発目標」遂行にあたって、開発の進展と貧困削減の中心的な障害は貧困なガバナンス(政府の統治)にあるという国際的なコンセンサスができたが、それ以来10年経って、途上国各国のガバナンスの現状はどうなっているのか検証するという趣旨で、各国・各分野の現状を分析したものである。その結果、国際的な介入で一部の国の分野によっては改善が見られるものの、全体としては、既成の政治経済権力の強さはいかんともしがたいものがあるということで、「限界(Limits)」というタイトルをつけることとになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通り、1年目は、『開発政治学入門:途上国開発戦略におけるガバナンス』と題して、勁草書房から出版することができた(390ページ)が、2年目には、当初、可能性が明確でなく、計画に書かなかったが、木村の国際共同研究ネットワークを動員し、15名でLimits of Good Governance in Developing Countriesを、木村が名古屋大学との学術交流提携校責任者であるインドネシアのガジャマダ大学の出版会から出版できた(570ページ。木村の総論+15章構成)。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、『途上国開発戦略におけるガバナンス(まだ仮題)』として、もう1つの出版を目指す。1年目の『開発政治学入門:途上国開発戦略におけるガバナンス』で、途上国の開発の政治局面における体系化を行い、2年目には、博士号を持つ外国人13名を含む15名でLimits of Good Governance in Developing Countriesを出版して、各国のガバナンスが「良き統治」になっているのかどうかを検討した。 3年目の最終年度において目指したいことは、2000の国連決議「ミレニアム開発目標」が2015年に終了するのに合わせて、次の開発目標をどうするかという議論が起こってきていることに対応して、途上国の開発と貧困削減の主要な障害としてコンセンサスを得てきた「貧弱なガバナンス」にどう対処するか、具体的には、公共政策遂行に向けた政府を機能させ、中央・地方政府の官僚制を機能させ、政党政治を制度化し、軍の政治からの撤退を押し進め、マスコミと市民社会をより機能させ、汚職を減らし、民族対立の収拾へのめどをどうつけるか、紛争処理後の国家の再建をどう考えるかといった個別の要因を詰めて考えることである。
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