本年度は、夏休み前に2回研究会を開催した。第1回目は本研究メンバーのみでこれまでの2年間にわたる研究を通して各国政権政党の指導力、政治手法に関する類似性と相違点を明確化し、その類似性と相違点を生み出している要因について検討すると共に4 カ国の相互影響力についても検討した。さらに中国とインドシナ三国における共産主義体制の変化と現状の全体像についても議論した。そして、第2回目は、最終報告書をまとめるに当たっての基本的な観点、方法、スケジュールなどについて話しあった。結果、本年度は最終報告書を作成するよりも、これまでの研究・作業の一部を基礎とした翻訳資料集を作成する方が今後の研究にも資するとの結論に達した。同時に、これまでの研究によって明らかになった点、依然として不明な点などを相互に再確認した。 夏には、以上の議論・方針を踏まえた上で補足的に2週間の現地調査を行った。初年度と同様に、各自が担当する国へ赴いた。 帰国後、さらに4回の研究会を開催した。第1回目は各国担当者が執筆する翻訳資料集の執筆分担について討議すると共に、一党支配体制下におけるグッドガヴァナンスに関する理論的な問題を中心に再度議論した。第2回目・第3回目は各国担当者が補足調査を踏まえて2 名ずつ発表した。そこでは、本研究の申請時における「予想される研究の結果」がどの程度妥当性のあるものかを検証した。第4回目は翻訳資料集発刊の準備状況を再確認するとともに、本研究による研究成果を書籍(最終報告書)出版につなげるための課題について議論した。 そして、2013年3月、本研究の成果を一部を公表するべく五島文雄・諏訪一幸・山田紀彦・山田裕史『中国・インドシナ三国の法整備状況‐1990年~2012年‐』という報告書を作成し、本研究に関連する研究者・研究機関に配布した。
|