研究課題/領域番号 |
22402024
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
八木 紀一郎 摂南大学, 経済学部, 教授 (30116511)
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研究分担者 |
平野 泰朗 摂南大学, 経済学部, 教授 (20165195)
住沢 博紀 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50226601)
清水 耕一 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (00235649)
徳丸 宜穂 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (00387656)
土井 康裕 名古屋大学, 経済学研究科, 講師 (70508522)
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キーワード | 欧州エネルギー2020 / 越境地域協力 / サステナブルな成長 / エネルギー・ロードマップ2050 / インクルーシブな成長 / 脱原発 / 越境労働市場 / EU |
研究概要 |
1.欧州の地域レベルの経済統合と社会経済イノベーションの関連の発展を追求することが、本研究の目的であるが、福島原発事故によって急浮上した欧州レベルのエネルギーおよび環境政策というイシューに対応する必要があった。福島の原発事故は、欧州の環境・エネルギー政策に、原子力利用の危険性という対立的なイシューを引きいれた。欧州はドイツを先頭にした脱原発国と、原発を維持しようとする国に分かれながら、統合的なエネルギー市場の構築(「エネルギーの自由移動」)に進んでいる。このような状況に対応して、本研究も、欧州の地域統合政策をエネルギー・環境政策と結びつけて考察しうるよう研究方針の微調整をおこなった。 2.そのため、2画の研究会でEUの環境エネルギー政策と地域政策の関連をとりあげた。また、欧州の環境政策・地域政策において影響力をもつ、アラン・リピエッツ(環境派の元欧州議会議員)、ミランダ・シュラーズ(ドイツ政府エネルギー問題倫理委員会委員)の2氏をアドバイザーとして招聘し、欧州における環境政策と地域政策の融合にともなう諸問題について学ぶとともに、先進的事例・地域の実践について教示を受けた。それにしたがい、研究代表者がベルリンでドイツの専門家にヒアリングをおこなうとともに、デンマークとの越境協力都市でもあるスウェーデンの環境先進都市マルメを訪ね、その都市再開発の実態調査をおこなった。 3.日本の震災被災地域の復興、放射能汚染地域の再生においても、欧州の事例を参照しながら、安全・環境・持続的経済を結びつける方策が求められている。そのため、シュラーズ教授とともに福島市でシンポジウムをおこなった。 4.昨年度の実地調査にもとづいた北ドイツ・南デンマークの地域運営が論文として公表された。また、ドイツ・スイス・フランス3国間で越境通勤が増加しているライン上流地域の労働経済についての実地調査がおこなわれた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
欧州統合の地域的次元の新段階(欧州2020)をほぼ理解し、それにもとづくアドバイザーとの交流・現地調査を開始することができた。他方、まだ未調査の地域(南欧・東欧・英国諸島)が残っている。欧州内の格差と多様性を把握しながら中間まとめをおこなうことが課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
未調査地域の調査の補充をおこなうとともに、福島原発事故以降の欧州における環境エネルギー政策の進展をふまえて、国境を超えた地域政策と環境政策の統合について、欧州における先進的事例の調査をおこなう。それをふまえて中間まとめを今年度中におこない、将来展望を含む後半の研究に進みたい。
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