研究課題
「研究の目的」本課題では、社会文化的な背景や、マネジメント形式が異なる国・地域において、グローバル企業が現地社会との円滑かつ互恵的な事業展開を導入するための環境適合型リーダーシップ行動の選択学習メカニズムについて研究する。本研究の目的は、「メタ認知理論」を援用し、グローバルな視座と現地法人の経営特性を相互補完する「ハイブリッド経営」に必要なグローバル・リーダーシップを自己学習するモデルを構築することである。本研究による経営行動の学習メカニズム分析を通して、ボーダーレスに活躍できる次世代型グローバル・リーダーシップ能力の育成に寄与することが期待される。「研究の意義」今日のますます加速している社会のグローバル化に対応するため、グローバル人材の育成が日本の経済にとって急務である。しかし、多くの日本企業などはその方法をまだ模索している状態である。この研究はグローバル人材のコンピテンシーを確認し、その育成方法を研究している。世界各国のデータを分析し、共通に有効なコンピテンシーと有効性が国ごとに異なるコンピテンシーを把握し、海外経験を通して、どのようにこれらのコンピテンシーを育成できるかを調査している。最終的にはグローバル・リーダーシップトレーニングのツールの開発を目指している。「研究活動・発表」平成24年度は23年度に引き継ぎ、海外研究者の協力を得てヨーロッパ・アジアの11カ国 でウェッブ上のアンケートサーベイ(定量調査)を実施した。参加カ11国は日本、インドネシア、中国、台湾、韓国、トルコ、英国、フランス、ノルウェー、ドイツ、ロシアであった。23年度の調査では576の有効回答数、24年度は317の有効回答数を得て、合計893の回答を最終的に得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
WEB調査について、当初24年度の開始を予定していたが、海外研究者の協力も得て、23年度から開始することができた。そのため、24年度からその回答分析に着手することができ、その中間結果を学会で3回発表をし、当初の計画以上に研究を進展させることができた。
25年度は、WEB調査のデータのさらなる定量分析を加え、その結果を基に24年度から構築し始めているグローバル・リーダーシップの諸コンピテンシーの効果を計るシミュレーション・ツールを強化する。また、リーダーシップに関する国別特徴を明らかにするため、国際比較分析を行う。また、調査データは定量分析のみならず、調査回答者の自由記入に基づく回答を活用し、定量データと定性データ(テキスト・マイニング)を組み合わせ、相互補完するMixed Research Methodによるデータ解析を行う。これにより、従来の独立した定量、定性の仕切りを取り除き、分析結果の妥当性を確認するとともに総合的な解釈に役立てる。これにより、グローバル・ハイブリッド経営に向けた環境適合型リーダーシップ行動の選択学習モデルに求められる動的特性を検証する。
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