研究課題/領域番号 |
22402031
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
原口 恭彦 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (20343452)
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研究分担者 |
上林 憲雄 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00243296)
加藤 厚海 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (10388712)
若林 直樹 京都大学, 経営学研究科, 教授 (80242155)
秋山 高志 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (80457283)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 日系企業 / HRMシステム / 労使関係 / 組織市民行動 / 職務設計 |
研究概要 |
本年度は、アジアに展開している日系企業の人材マネジメントに関する調査・分析を、研究課題に即して実施した。以下に、調査課題毎に中間的な実績を記す。本年度はタイにおいて集中的な調査を実施した。 (1)各企業が採用した戦略や技術によってもたらされる「HRM戦略類型(HRMシステムの合理的選択)の解明」については、同じ日系企業でも、技術の複雑性や可変性などによって、採用されているHRM戦略が異なることを明らかにした。(2)本国のHRM慣習によってもたらされる「本国と進出国間のHRMシステムの相違点(HRMシステムの経路依存性)の解明」については、昨年度の発見事実である、生産システムにおける本国システムの再現が、様々な業種で見られていることを明らかにした。また、管理部門における現地適応化が幅広い業種でなされていることも明らかにした。(3)各企業が現地の実情に適応するプロセスである「HRMシステムの定着過程(HRMシステム現地適応過程)の解明」では、昨年度の発見事実である、本国から派遣された経営陣の幅広い経営判断が尊重されている状況が、様々な業種においてみられることを明らかにした。 これらの発見事実に加え、進出企業では労使関係に強く配慮したHRMシステムが構築されていることも明らかにした。特に、賃金面、採用面においてその傾向が顕著である一方、労働シフト、評価などの面においては、同様の傾向はあまり見られなかった。 本年度後半においては、日系企業数社に質問紙調査を実施した。さらに、発見事実の一般性確保に向けて、国際比較が可能な質問紙調査実施準備を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの達成度はおおむね順調である。計画においては、本年度までの計画は、中華人民共和国に加え、ASEAN各国においても調査を実施し、発見事実の抽出・整理を行う事であった。本年度までに、ベトナム・タイなどASEAN各国における調査を実施し、上記の目標を忠実に実施した。 その結果、本年度までに、研究課題に即した事項に関し、多くの発見事実の抽出、およびその定量化作業を完了した。 さらに、一般性確保に向けた、定量調査においても、その一部は既に実施しており、大規模調査を次年度に実施する準備も完了済みである。次年度にその調査を実施し、データ分析に活かすために、再度の質的調査を実施して完了の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の通りである。次年度においては、日本、中国、ASEAN諸国、およびアメリカも加え、大規模な定量調査を実施する。さらに、調査結果の分析をより深く行うために、追加的な質的調査を実施する。 それらのデータに、理論的解釈を加えながら、本調査課題に即した体系的な調査結果を作成する。 なお、これらの調査進行と平行して、研究成果の報告を積極的に実施する予定である。
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